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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 32

「2人が取り乱しまして申し訳ありません。
 この2人、こちらの世界に出てきたことがないとのことなので・・・」
「こ、『こちらの世界』?どういうこと?」

内心驚いているのを隠すように答える啓太。
・・・まぁ、腹黒が本性なんだって知らなきゃ誰だって驚くわな。

「先ほどの挨拶でお気づきかもしれませんが、彼女たちは啓太さまのいる、
 全うなこの社会の生まれではありません。
 人身売買を扱う秘密組織出身の『怪人』なのです」
「かっ・・・?」
「驚くのも無理はございません。
 怪人とは凶悪犯罪の代名詞ですから。
 しかし。啓太さまの知る怪人とはほんの一部に過ぎないのです」

ふむ。啓太がほうけているうちに、『怪人』について読者のみなさんにも説明させていただこう。
夢の説明に合わせてするので、『夢としゃべってる』なんて誤解しないように。

「『怪人』と一口に言ってもその用途や目的により、大きく分けて2種類に区別されます。
 啓太さまが知っておられるのは『戦闘型』。
 主に軍事商品のプレゼンや組織拡大などを目的に使われる連中です」

そこからさらに用途によって『暗殺型』『殲滅戦型』など、様々な種類に分類されるのだが、ここではその説明を省く。

「そして彼女たちのような・・・『非戦闘型』」

この手のタイプは戦闘能力がないかわりに、ニーズに合わせて様々なカスタマイズが施されている。
人身売買用の『愛玩型』、臓器売買に使う『商品型』、モルモット用の『検体型』、怪人の材料となる子供を産むための『繁殖型』・・・。
そして・・・。

「彼女たちの場合は・・・。
 新しい商品として生み出された・・・『家畜型』」
「か、かちく?」

・・・む?そんなジャンルは聞いたことないぞ?

「彼女らが所属していた組織の新商品の雛形だそうです。
 非戦闘型の全種類の特徴を統合し、生み出された存在・・・。
 NA−P6931、用意を」
「は、はい・・・」

子供の母親、NA−P6931はためらいがちにうなづくと、芸術品のような右手を差し出した。
そして・・・。


ブシャッ・・・!

「なっ・・・!?」
「・・・くっ・・・〜〜〜〜っ!」

いつの間にか右腕を怪人化させた夢が、差し出された右腕に鋭い鉤爪を突き刺した。
夢の爪はNA−P6931の柔肌をやすやすと切り裂いて、その下の肉までしっかりと食い込んでいた。
刺されたNA−P6931は苦悶の顔を浮かべるが、夢はそれを気にもとめない。
子供のNA−V5413も青い顔で震えているが、止める気配はない。

「ちょっ・・・夢!オマエ、何して・・・!」

ピシャッ・・・!

啓太があわてて止めようとすると、夢はすばやく爪を抜いていた。
NA−P6931の腕から鮮血がほとばしる。
啓太が救急車を呼ぼうとしたそのときだった。

「・・・あっ!?」

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