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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 4


「ウ・・・」

頭を抱えながら上半身を起こす美女。
きょろきょろ部屋を見回し、事態を把握しようとする。

(コこハ・・・どコダ?)

そこは彼女の見覚えのない場所だった。
なぜ自分がこんなところにいるのか。
ひどい頭痛に悩まされながら、それ以前の記憶を懸命に思い出す。
だが思い出せない。
ほんの少し、部分的なことしか思い出せない。
そうだ。今、思い出せることを再現してみれば、何か思い出せるかもしれない。
それはとてもいいアイデアに思えた。
彼女は迷うことなく、自分の記憶にしたがって、目の前の男に手をのばした―――。

一方。彼女の目覚めに気づいた啓太は困惑していた。
最初はびっくりして驚いていたが、キョロキョロ辺りを見回したり、何か物思いにふけったりと挙動不審な行動に戸惑っていた。
さあ、どうしよう。そう思っていたその時だった。
挙動不審だった彼女が、両手を首の後ろに回し、引き寄せたのは。

チュッ・・・。

何を、と叫ぶ前に啓太の唇は彼女の唇でふさがれていた。
やわらかい、くちびる。
そんなフレーズが啓太の脳裏を掠めた。
雑誌か何かで読んだ知識。
このフレーズを見るたびに安っぽい表現だと思っていたが、啓太はこの時になってそれが誤りだと気がついた。
そうとしか表現できないのだ。
みずみずしく、プリプリと弾力に富んだ唇。
男ではなしえないこのやわらかさ。
啓太は驚きに固まりながらも、その感触だけは無意識ながらも深く心に刻み付けていた。
対する名も知れぬ少女の反応は啓太青年とは縁遠い世界にいた。
今、彼女の心は『ある記憶』が流れ込んでいた。
それは口付けを交わす男の情報。
男の性格や名前、年齢から今いる場所や彼の嗜好に至るまで、様々な情報が流れ込んでいた。
そしてその情報はバラバラだった自分の記憶と1つとなり、自分が何者であるかが少しずつ鮮明になっていく。
自分がこれから何をなすべきか、自分の使命とともに。

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