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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 3

彼女が自分の好みだったから。それが理由である。
どう見ても人並み以上に整った顔、プロポーション。
およそ恋愛と呼べるものを体験したことのない彼にとって、彼女との出会いは宝くじを前後賞合わせて当てるのと同じくらい奇跡的なことだった。
もっとも啓太自身はまだ気づいていないようだが。
・・・こらそこ。最低とか言うな。
どんな人間だって、そんなきれいごとだけで動くようにできていないんだから。

おっと、そうこうしているうちに少女の治療が終わったようだ。
とは言え、童貞と思われる啓太青年にこれ以上のことができるわけはなく・・・無常にも時ばかりが過ぎていった。
何もすることがなくなれば、普通人はいろんなことを考える。
明日の予定やテレビの番組、読んだ本の内容とか。
彼の場合は当然、彼女のことを考えていた。
とりわけ興味を引いたのが彼女が傷だらけでゴミ捨て場に倒れていた理由である。
男ならケンカで袋叩きにされた上に身包みはがされた、という理由で納得できる(・・・おいおい)。
しかし女だと話は変わってくる。
ひいき目に見ても人並み以上の美貌を持つ彼女が、傷だらけになって全裸で倒れている理由が想像できないのだ。
そんなとき、ふとある可能性が頭の中をよぎった。
・・・それは彼女が怪人である可能性。
怪人なんてニュースでしか見聞きしたことがないが、どれも服らしい服なんて着ていない。もし正義の味方と戦って手傷を負ったとしたら・・・?

「・・・ぷっ、」

啓太は軽く苦笑するとすぐにその考えを捨てた。
いくら何でもありえない。そう思ったのだ。
啓太の住む三方(みかた)町はいわゆる一般階級の住宅地であるため悪の組織が来ることなんてない。
何より怪人の大半は戦闘力を重視して作られているからその姿は人間とは似ても似つかない。
こんな美人が怪人で、しかも正義の味方とやりあっただなんて・・・アリエナイ。

啓太は思わず手を振りながらその可能性を打ち払った。

・・・となるといちばん筋が通ってるのは、どこぞの男たちが徒党を組んで彼女を襲った、ってとこ・・ろ・・。

そこまで考えて初めて啓太は目の前の美女がいつの間にか起きていることに気がついた。

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