世界の中心で平和を叫ぶ。 27
「黙りゃあっ!それでなくてもここ最近、おまえの家事のために何着もの服をボロキレにされたり、おまえの殺人クッキングで殺されかけたりと散々なのに・・・!」
おお、あまりの気迫に怪人の夢が後ずさっとる。
これは貴重な映像だな。写メに残しておこ。
・・・パシャッとな。
お、今度はちゃんとハリセン持って来た。
「け、啓太さま、お、おゆる・・・」
「天誅!」
すっぱーんっ!
小気味よいハリセンの音ともに夢は床に沈められ、その後、社会の仕組みについて今度は2時間みっちりと再教育させられたのである。
・・・最近、説教ばっかりだな、この小説。
そろそろ新しい展開考えとこ。
で。散々説教ばっかりやってたせいで、今はもう夕方。
そろそろ読者も早く話を進めてほしいとツッコミたくなる時間である。
「え、何だよ、俺だけ悪者?」
そう思われたくなきゃ話進めろや。
啓太は『何で俺が・・・』などとぼやいていたが、ようやくこれで話が進みそうだった。
「…つまり首都圏における秘密組織同士の対立と、外部勢力の介入、これは『正義の味方』と言ったほうが分かりやすいと思いますが…そういった諸々の組織、勢力同士の緊張が高まった結果、表面上は何も起こっていないようで、むしろ水面下での抗争は激化しているというわけです」
「はぁ」
とにもかくにも気を取り直して説明再開。
…のはずが、さっぱり当の啓太は追いついていない様子。
ゆめが言葉を尽くせば尽くすほど難解単語が散りばめられて意味不明。三十分は続いているよ、コレ。
正直ナレーターの私も付いていけない感じ。
「また、政府や巨大企業による各種報道機関による圧力も考慮すれば、それらの事柄が一般の社会には伝わらなっていないという現状も不思議ではありません。あるいは、既に情報管制といった緩いものではなく、マインドコントロールによる情報操作、といった段階に来ている可能性もあります」
ようするに、政府と企業とマスコミが最大のワルモノですよ、与党なんか辞めちまえ、って言いたいんじゃないの。
え? 全然違う? さいですか。
「…はぁ」
…まぁとりあえず啓太が全然分かってないのは確定。
「・・・よく、わかっていませんね?」
「・・・ハイ、申シ訳アリマセン」
全然話についてこれない啓太を見て、夢は要点のみを伝えることにした。
「つまり、今の私では啓太さまをお守りできないので、自警団を組織したい、そういうことです」
「あぁ、なるほど・・・って!?」
ええ?まがりなりにも怪人である夢が役立たず宣言?
そりゃ、確かに家事の役には立たなかったけれども!
戦闘で役に立たないって、そりゃどういうこっちゃ!?