世界の中心で平和を叫ぶ。 26
「い・・・いえ、わからないのも無理はありません。
これは一般には出回ってない情報ですから」
夢は無理のあるフォローを入れながら話を続ける。
だがその話はキナくさいものがプンプン臭っていた。
「これは今日まで私が集めた怪人・戦闘員などの目撃・戦闘情報をまとめたものです」
「ヘっ・・・?」
ことここに至ってようやく事態を飲み込めたらしい。
啓太はまぬけな声を上げて固まっていた。
「左は1ヶ月前のもの、右は最新のものです。
・・・ここまで言えばもうおわかりですね?」
「・・・・・・」
しばしの、間。そして啓太はその思い口を開いた。
「・・・すみません、わかりません」
ガンッ!
「あだっ!?」
「け、啓太さまっ!?だ、大丈夫ですか!?
ど、どこから石なんて・・・!?」
いや、失礼。あまりの啓太のニブさにキレて石を投げてしまった。
一瞬、殺してもいいかな、とも思ったが、小説を終わらせたくないのでやめにした。
ちょっとヤボ用を済ませてくるから読者諸君は待っていてほしい。
・・・つーわけで啓太、ちょっとこっち来い!
「え?あ?ちょっと?」
「け、啓太さま?どこに行かれるのですか、啓太さまーっ!?」
・・・それから10分後。
私と啓太はボロボロになって話し合いの場に戻っていた。
啓太がボロボロになっていたのは言うまでもないが、私がボロボロなのはワケがある。
・・・夢にやられたのだ。
説教中に夢がやってきて、啓太を守るべく、見えないはずの私に石を雨あられのごとく投げつけてきたのだ。
天の声の特権で啓太しか私の存在に気づけないはずなのに・・・!(ガクガクプルプル・・・)
次から啓太シメるときは注意しな・・イテテッ!
と、とにかく話を戻そう。
すでに私から助け出された啓太は夢から写真の意味を説明してもらっていた。
一見安全そうに見えるこの町も巻き込まれるのは時間の問題・・・いやすでに巻き込まれている可能性が高いと。
「で、さっきの話の続きだけど、間違いないの?」
冗談でしょ、と言わんばかりに啓太が尋ねる。
あれだけ私にやられておいて、まだ信じないとはある意味大物である。
さすが正体不明の怪人の主、と言ったところか。
しかし対する夢は真剣な表情でそれを否定した。
「残念ながら。この情報は新聞・TV・ラジオなどの情報だけでなく、警視庁の極秘データからの情報も調べましたから」
「・・・は?」
へ?警視庁の極秘データ?
「何で夢がそんなもん知ってんのさ?」
「え、なぜって・・・ハッ!?」
・・・どうやらまたハッキングをやらかしたらしい。
おーおー、啓太の背後に怒りの炎がメラメラと。
「ゆぅ〜めぇ〜?俺、教えたよなぁ?
ハッキングは犯罪で、捕まるとヤバいからやめろって」
「い、いえ、これは啓太さまの身を守るためにやむなく・・・」