世界の中心で平和を叫ぶ。 25
あの時逃げ出した罪滅ぼしをさせてくれ、と思わず言いそうになってしまうぐらいの、切実に助けを求める表情だった。
そんなわけで、これ以上この話題に触れるのはやめてほしい。
たぶん啓太もそう思っているだろうから。
さて、話を戻そう。
何でも自警団を作りたいとのことだが・・・。
どうしてまた急にそんなものを?
「啓太さまには今までナイショにしてきましたが・・・。
実は自警団のことは前々から考えていたことなのです」
「前々から?」
・・・つーことは、一発ヤッたあの日あたりからすでに考え始めていたってことか。
「はい。私は啓太さまに初めてかわいがられたあの日から、
そのご恩に報いるべく、いろんなことを考えてきました」
夢によると家事もその一環だったらしい。
「・・・できれば自分にあったものをやってほしかったなぁ・・・」
思わずボソッとつぶやく啓太。
わかる・・・わかるぞ、その気持ち!
「今、何かおっしゃいました?」
「! い、いいえっ、何も!」
あわてて夢の疑問をそらす啓太。
そりゃ、あの説教をもう一回食らうくらいならごまかしたほうが得策だわな。
「で、でも何でまたそんなものを作ろうなんて考えたの?」
啓太がごまかしにごもっともな意見をぶつける。
確かにそうだ。
啓太の住んでいる三方町は悪の組織が目をつけるようなもののない、平和なところだってのに。
「理由はいろいろありますが・・・まずはこれをご覧ください」
夢はそう言うと、懐から2枚の紙を取り出した。
・・・いったいどこに隠してたんだ、そんなもん。
「これは・・・」
それはどちらも三方町とその周辺の地図だった。
地図のところどころには×印がつけられていて、左の地図より右の地図のほうがその数が多い。
しかも×印は三方町を包囲するかのようにつけられている。
これってまさか・・・。
「何?これ」
ガクッ。
夢と私は思わずずっこけた。
あうぅっ。ここまで来てまだ気づかないか、主人公!
注意力がないと物語の展開に支障が出るだろ!