世界の中心で平和を叫ぶ。 23
「・・・・・・」
啓太は質問の答えをあきらめると、無言で夢のくびれた腰をつかんだ。
勝利を確信した夢はニッコリ笑うと、
「夢のいやしいカラダ、今夜もたっぷりとお楽しみくださいね・・・?」
と言った。『いやしい』じゃなく『いやらしい』の間違いではなかろうか。
とにかく今夜も2人の甘い声は途切れそうになさそうだ。
これが2人のここ1週間の性活のサイクルだった。
・・・コスプレや野外Hに発展するのは時間の問題だな、コリャ。
・・・ぃ・・・きろぉ・・・
「・・・ん・・・ぅ・・・?」
お〜い、起きろぉ〜。朝だぞぉ〜。
チュンチュン・・・
「ん・・・ぁ・・・?」
お、お目覚めか?
「ここは・・・?」
・・・どうやらまだ寝ぼけているようだな。
何をお決まりのボケをかましてるんだか。
ま、何せ昨夜は体力の続く限りヤリまくってたし、仕方ないか。
「あ、啓太さま。お目覚めですか?」
「ん・・・?」
振り向くとGパンにダボダボのTシャツ姿の夢が立っていた。
洗濯の途中だったのだろう、両手には洗濯物の入ったカゴが握られている。
ちなみに着ている服は啓太のお下がりである。
「あれ・・・?夢・・・?・・・って!」
寝ぼけ眼で啓太は夢を見ていたが、次の瞬間、一気に眠気が吹っ飛んだ。
一般常識を知らない夢が家事なんてできるわけがない。
それに気づいたからだ。
バッ!
大慌てで洗面所に置いてある洗濯機を見る。
・・・が、そこには別段、何も変わりのない洗濯機があるだけだ。
しかし啓太はそれに安心することなく、洗濯機を調べ始める。
ふたを開けて中をのぞいたり、電源を入れて正常に動くか調べたり・・・。
何が啓太をここまで心配させるかは聞かないでやってほしい。
今までのことを思うと・・・ううっ、哀れすぎてとても言えないっ!
しばらくして、洗濯機の異常チェックが終わったようだ。
その顔には信じられないものでも見たかのような、驚きの表情があった。
「・・・信じられない」
呆然とした顔で啓太はポツリとつぶやいた。
おい、何があったんだ、啓太。
「洗濯機が・・・壊れてない・・・」
はぁ!?あの夢が?家事をやって?何も壊してないぃ?
た、確かにそれは大事件だ。
読者の諸君には説明してなかったが、この夢という少女は家事が大変ダメなのである。
この1週間、幾度となく彼女の家事を見ていたが、その腕は壊滅的だった。