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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 214


雅のさも当然のような物言いに、夢は思わず苦笑を浮かべる。
だが今日は本当に驚くようなことばかりだ。
本来ベンケイには自力で封印を破るどころか、ミラージュとイブに勝てる要素は何1つなかった。
特にミラージュは強力な幻術でいつもベンケイをねじ伏せていただけに、今回のことは本当に予測不可能だった。
本来ならミラージュの幻にねじ伏せられたベンケイが、いつものようにミラージュ特製の苦手なものの幻影フルコースを見せられて片付くはずの問題だったのに。

「そう言えば捕まえた正義の味方はどうなっている?」
「ついさっき、治療が終わったとの連絡があったので開発部の連中に回しておいた」
「開発部に?なぜだ?」
「啓太様のご意思を尊重した結果だ。
 連中は記憶喪失の野良怪人として、啓太様の護衛についてもらう」
「後は時機を見て記憶を思い出してもらい、その記憶を有効利用する・・・か?」
「ああ。その時にはリリス、情報部にも働いてもらうぞ」
「かまわんが、くれぐれも私が貴様の悪事の片棒を担いでいると思われないようにしてくれよ?
 私は啓太に嫌われたくない」

クロックは『善処する』と短く答えた。
もしかしてクロックも夢と同じ腹黒キャラ・・・?
でもクロックの腹黒さは、夢のそれとは何かが違うような・・・。
そんな中、クロックは要件は済ませたとばかりに夢たちに背を向け、部屋を出て行く。

「どこへ行く?啓太様のご寵愛を賜りに行くのか?」
「営業部へ。私にはまだやらなければならない仕事が山ほどある。
 啓太様にはお気持ちだけ受け取っておくと、よろしく言っておいてくれ」

クロックはそう言い残して部屋から出て行った。
・・・どうやら彼女はバリバリの仕事人間型のようだ。
彼女が女の悦びに目覚めるのは一体いつの日のことか。
残された2人はクロックのあまりにもったいない行為にため息をつきながら、これからのことを話し合い始めるのだった。
「ふっ堅物だなクロックはあれも奴の性分か。そうそう…今日は啓太と過ごして有意義な一日だったよ。でも、少し疲れた休ませて貰うよ。」
リリスはにっこりと笑みを浮べ職場に戻った。




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