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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 213

啓太の言うことは的を得た発言にベンケイはあっという間に追い詰められる。
啓太のことを第一に考えれば、彼の喜びそうなこと、怒りそうなことはすぐにわかるようなものだ。
つまりベンケイは、この期に及んで自分のわがままを通そうとしていることになる。

「・・・わ、わかりました」
「はい?声が小さくてよく聞こえないんだけど?」
「わ・・・わかりました!
 啓太殿の仰せに従い、全力を持って今回の騒動の責任を取らせていただきます!」

ザワッ・・・!

その言葉に周囲の怪人たちが騒ぎ出す。
解雇の一歩手前の処分を受け入れると言ったことに驚いたのだ。
だと言うのに、啓太はあくまで淡々と底意地の悪いことを聞いてくる。

「いいの?ベンケイのレーゾンテートル(存在理由)に関わるんじゃなかったの?」
「かっ・・・構いませぬ!そっ・・・それぐらいのことっ、できなくてはっ、啓太殿のおそばにおれませぬっ!」

ベンケイは大粒の涙をボロボロ流しながら、啓太の提案を受け入れる。
それを見た啓太は、軽く安堵のため息をついてこう言い始めた。

「わかった。受け入れる覚悟があるなら、それ以上は何も言わない。
 働き口についてはおって連絡する。
 オマエがまた何か問題をしでかさないように、オレがちょくちょく監視に行くから、そのつもりでいるように!」
「・・・?!」

その言葉にベンケイは涙でくしゃくしゃになった顔を上げる。
啓太の言葉が意味する矛盾に気づいたようだ。
啓太が直々に監視に来る、ということはつまり・・・。

「わかったのか!?ベンケイッ!!」
「は・・・はッ!かしこまってござるッ!」

啓太のダメ押しの確認に、ベンケイは再びボロボロと涙を流す。
こんな自分のためにわざわざ様子を見に来てくれる、不器用な主の優しさに心を打たれて。
こうしてベンケイの裁判はお開きとなり、幹部怪人たちはそれぞれの持ち場に戻っていった。
啓太も傷ついたバルキリーやイブの様子を見るために、医療部部長のチェス・ボードとともに医療室に向かった。
親衛隊室に遺されたのは夢とクロック、そして雅の3人だけであった。

「やれやれ、今日は驚かされてばかりだな。
 まさか啓太様があのような判断をされるとは思っても見なかった」
「何言っているんだ、夢?啓太は我々の主だぞ?
 私が身も心も捧げた啓太にできないことなんてあるまい?」
「ふ・・・そうだったな」

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