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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 211

「はい?」
「こんなバカバカしい裁判は即刻中止だってんだ、このおバカどもッ!
 ベンケイの判決は、おまえらの主であるオレが直々に下してやるッ!
 いいなッ!?」
「い、いやでもそれは・・・」
「い・い・なッ!?」

有無を言わさぬものすごい迫力に、何とか反論を試みようとした夢はあえなく退散。
啓太の主張を全面的に通すこととなった。
が。いざ罰を与えるとなるとなかなかいいのが思いつかない。
死刑判決100%のママゴト裁判を防ぐのに精一杯で、そこから先のことなどまるで考えていなかったのだ。

(・・・どうする?どうするよ、オレ?)

啓太はない知恵を必死に振り絞って考える。
無罪にする?・・・却下。
あれだけの騒ぎを起こしておいて、無罪はありえない。
また似たようなことを考えるバカがいないとも限らないし。
ではどんな罰を与える?
鞭打ち100回?・・・ダメだ、女の子が苦痛に喘ぐところなんて見たくない。
下手したら、オレもベンケイも新たな境地に目覚めてしまいそうだ。
基地の掃除なんてどうだろう?・・・って小学生かッ!?

(・・・ダメだ。コイツラに効き目のありそうな罰ってのが思いつかない!
 逆に喜びそうなことなら何でも思いつくんだけ・・・ど?)

そこに至って、啓太の脳内にある名案が閃いた。
それはコロンブス的発想。
歴史的な大発見というヤツであった。

「あ、あの、啓太様?いかがなされました?」

いつまで経っても刑罰を言おうとしない啓太に、夢がおっかなびっくり声をかける。
すると啓太は底意地の悪い笑みを浮かべて振り返った。
その顔を見た夢は、触れてはいけないものに触れてしまったのを感じ、さらにビビる。

「ゆ〜め〜?ちょおっと聞きたいことがあるんだけど、いいカナ〜?」

啓太の不気味な笑顔と口調に、夢はこの場から逃げ出したい衝動を抑えながら、啓太の質問に答えていく。
それを聞いた啓太はさらに口の端を吊り上げて、笑う。

『何も知らない下っ端怪人がコレを見たら、啓太様を極悪人か何かと勘違いしただろう』

現場に居合わせた幹部怪人は後にそんなことを語る。
・・・何だかんだ言って、結構悪の組織の首領が板についてきているようである。
本人が聞いたら全力で否定しそーな気がするが。

「じゃ、発表。
 今回の騒動を起こしたベンケイは、その罪を償うまでの間、オレに奉仕することを無期限禁止とする」
「・・・え?」

その言葉の意味をすぐには理解できず、きょとんとするベンケイ。
しかしその意味を理解した瞬間――!

「ええーーーーッ!!??」

彼女の絶望の雄叫びが親衛隊室中に響き渡った。
周囲の怪人たちも恐ろしいものを見るような目で啓太を見ていた。
当然だ。道具である怪人にとって、持ち主である主人の役に立てないことは何よりもツラいこと。
彼女たちにしてみれば、事実上の最終通告に近い。

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