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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 202


――――

ドゴオォォオン・・・ッ!

「ぐああぁあぁっ!?」

その頃。鉄の巨人を操るバルキリーとベンケイの戦いは熾烈を極めていた。
巨体にモノを言わせた攻撃で攻めるバルキリー。
しかしベンケイは満身創痍であるにもかかわらず、その攻撃に耐え抜いていた。
恐るべきは恋する乙女の執念か。
振り下ろされる巨大な鉄拳を受け止めたり、空圧の弾丸を乱射して攻撃の威力を弱めたりして、なかなか有効打につながらない。

「オイオイ・・・!冗談だろ・・・?
 あれだけ攻撃を受けて、まだ戦えんのかよ・・・?」

少し離れたところで、ビーストが信じられないものを見るかのようにつぶやく。
事実、ベンケイの身体はとても戦えるような身体ではない。
視力を奪われ、足を負傷し、バルキリーの操る巨人の攻撃を幾度となく受けた彼女の身体はボロボロで、戦うどころか立っていることすら奇跡に近い。
なのに彼女は歩く。
ゆっくりと。だが確実に啓太の家に向かって。

(啓太殿・・・!啓太殿、啓太殿、啓太殿ぉっ・・・!
 見捨て・・・ないで・・・!拙者を置いていかないで・・・!)

度重なる負傷ですでにベンケイの意識は混濁しており、もはや彼女の頭には啓太に会いたいということしか考えていない。
死に際のバカ力では片付けられない異常な事態に、バルキリーもビーストも目の前の光景に怪人が感じるはずのない、『ある感情』を覚えつつあった。

(なっ・・・何で?何でこれだけ攻撃を食らって動けるんですか?
 今の私の攻撃力はベンケイさまに勝るとも劣らないはず!
 まして目も見えず、ろくに歩くことさえできないはずなのに!
 どうしてこのヒトは動くことができるの!?)
「啓太・・・殿ぉ・・・!」
「・・・ひっ!?」

無造作に差し出された血まみれの手。
明らかに弱っているはずの手に、バルキリーは怯え、思わず後ろに一歩後ずさった。
そして・・・!

「くっ・・・来るなぁッ!?」

両手の指をベンケイに向けて差し出すと、いきなり指から鉄の塊を乱射し始めた。

「バッ・・・よせ!大将の命令を忘れたのか!?」
「うあああぁあぁっ!!」

あわててビーストが止めるも、鉄塊の嵐は治まらない。
幸い、反射的に撃ったようなので命中率はすこぶる低いが、それでも一発でも当たれば即死。
かすっても重体は避けられないであろう、強力な一撃だった。
しかし・・・!

「おぉああぁぁああぁあッ!!」

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