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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 200

 あなたが普段口をすっぱくして言っているその信念、失礼ながら試させていただきます」

クロックの事実とも挑発とも取れる言い方に、啓太は域を詰まらせるが・・・。
やがて決意にあふれんばかりの炎をたたえた瞳で彼は答えた。

「舐めんな!怪人化したオレの実力と根性、しかとオマエらにみせてやらぁっ!」

半ばキレ気味に啓太は言い放つと、先ほどまで考えていたことも何もかもをうやむやにしようと、現場へと急行しようとする。
しかしクロックはそうはさせじとすばやく啓太の肩をつかむ。

「啓太様。あなたは封から解かれた彼女の実力を甘く見すぎです。
 まして相手は手負いの獣。
 万全の体制で臨まねばご自慢の鎧を持ってしても危ういでしょう」

・・・つーか、どんだけすごいの、ベンケイの怪力って。
そんな作者の疑問を無視して啓太はクロックの襟首をつかんで顔のすぐそばまで引っ張り寄せる。

「ざけんな。今は1分1秒を争う状況なんだ。
 早くしないとベンケイだけでなく、そこにいる連中全てが危ないんだ。
 そんなに万全の体制とやらを敷きたけりゃ、夢を迎えに言ったヤツにこう伝えろ。
 『オレを死なせたくなかったらオレより早く現場に来い』ってな!
 さあ、さっさと現場に案内しろ!
 こっちは当の昔に覚悟を決めてやってきてんでえっ!!」

それは今のベンケイの実力を知っているクロックから見れば、無謀以外の何者でもない挑戦だ。
しかし今の啓太は損得を考える頭ではなく、ベンケイを救おうという感情で動いている。
このテの輩には説得なんてするだけムダだ。

(まったくこの主は・・・)

クロックは思う。きっとこのヒトは自分の立場なんて考えてないのだろう。
その心意気は立派だが、万が一のときは私たちをどうするつもりなのだ。
クロックは本部に帰ったらこの優しすぎる主の教育について会議で話し合おうと思いながら口を開いた。

「わかりました。ではそのように取り計らいます。
 ですが1つだけ約束していただきたいことがあります」
「・・・何だよ?」

薄々クロックが何を言いたいかは理解している。
しかしもしそれが啓太の予想通りならそんなことは許さない。
啓太は釘を刺すつもりでクロックの言葉を待った。

「このまま行かれれば、啓太様に命の危険が及ぶ可能性がございます。
 その可能性を少しでも軽減するためにも、ベンケイを攻撃するご許可をいただきたいのです」
「・・・それでアイツが死んでも文句は言うなってか?」
「・・・・・・」

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