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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 198


「その・・・啓太様がこういうことが嫌いなのは重々承知してました。
 でも、啓太様が私たちの仲間をお救いしてくださったとき、私は思ったんです。
 『ああ、啓太様はこんなにもがんばっているのに、私は何もできないんだなぁ』って」
「そんなこと・・・!」
「確かに戦いのない普段なら、私でもお役に立てます。
 でもあの時私は何もできませんでした。
 だから私は夢さまにお願いしたんです。
 『どんなときでも啓太様のお役に立てるための力がほしい』と」

啓太が怒っているとき、大抵オロオロするしかできない鈴。
しかしここは譲れないとばかりに、ハッキリとして口調で答えた。
それだけ彼女は啓太に恩義を感じ、自分の無力感にさいなまれたということになる。

「空。オマエも同じか?」
「――ハイ。私もお母さんと同じく、啓太様をいつでもお助けできる力がほしいです」
「・・・何でなんだ?
 何でおまえらはそうやって、自分から危険に首を突っ込むようなことをすんだよ?
 荒事専門の連中なら十分いるし、おまえらがそんなことをする必要はないって言ってるだろ?!」

切実に、そして心底わかってもらえないことを悲しんでいる声で啓太は2人を諭す。
しかし2人はお互いに視線を交わし、それぞれの意思を確認すると口をそろえてこう言った。

「「他人に任せたくないんです。
 私の、大切な啓太様を他人任せにするなんて、絶対に、許せないんです」」
「何、片思いの相手を奪われたくないみたいなこと言って――!?」

そこまで言って啓太は、何かに気づいたかのように口元を押さえた。

(オレ・・・。今、何て言おうとした?
 『片思いの相手』?『奪われたくない』?)

そこまで考えて、啓太はようやく2人が自分に対して抱いている感情が何なのかを理解した。
心臓が跳ね上がり、体温が上がる。
顔が赤く染まっていくのがハッキリとわかる。
しかし事実上の愛の告白をした親子は、急に様子がおかしくなった主を不安げに見つめるばかり。
純粋に自分を心配してくれているという事実が、桁の心から、着実に余裕を奪っていく。

(お、落ち着け!何、愛の告白されたとか語ってんだ、オレは!?
 れ、連中の顔を見ろ!
 連中に愛だの恋だのいう気持ちが理解できてるはずないだろっ?!
 き、きっとご主人様に誠心誠意お仕えしたいって思考の延長だとでも思ってるに違いないんだからっ!?)

生まれて初めて愛の告白をされた啓太は、ベンケイのことすら忘れて動揺しまくる。
しかし精神的余裕のなくなった頭では、冷静さを取り戻すどころか、ますます深みにハマっていく。
その対象は糸田親子から夢や刀、雅など他の連中にまで及んでいく。

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