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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 197

「・・・っ!おまえら怪人はいつもそうだな・・・!
 普段はオレを立てるような言い回しをしながら、いざと言うときはオレを役立たず扱いする。
 そのくせおまえらはそんなオレを守ろうと平然と命を投げ捨てようとしやがるんだ・・・!」

淡々と事実を突きつけてくるクロックの言い草に、啓太は抑えきれない怒りとともに、たまっていた本音をブチまけた。

「ふざけんな!?オレはおまえらを危険な目にあわせたいわけじゃねえッ!!
 オレはただおまえらとバカやりながら毎日を平和に過ごしたいだけなんだ!!
 どうしておまえらは何度言ってもそれをわかってくれねえんだよ!?」
「わかっていないのはそちらです、啓太様。
 もうお忘れですか?学校で正義の味方に問答無用で殺されそうになったことを」
「!!」

啓太は思い出す。大学の食堂で、怪人というだけで一般人である自分ごと夢たちを殺そうとしたあの正義の味方、エルカイザーのことを。

「啓太様。あなたのお気持ちは立派です。
 とてもうれしく思います。
 ですが世の中そんなきれいごとだけでは生き残っていけないのです」
「きれいごとだと・・・っ!?」
「力のない言葉など何の価値もありません。
 だからこそ我々はあなたの望みをかなえるべく、あなたの力になろうとしているのです。
 ベンケイがボロボロになってまであなたを追ってきたことや、夢が鈴に再改造を行った理由もそこにあります」
「・・・・・・」

啓太は何も言わなかった。
文句を言いたい気持ちがなくなったわけでもないが、クロックの言い分もわからなくもなかったから。

「あと5分ほどでそちらに到着します。
 それまでに私の言った言葉の意味を、よく考えていただけると幸いです」

クロックは言いたいことを言うだけ言って満足したのか、『ではまた5分後に』とだけ言い残して電話を切った。

「け、啓太様?」

何やら不穏なものを感じた鈴と空がおずおずと声をかける。
だが啓太は2人の呼びかけに答える代わりに質問を返した。

「・・・鈴。オマエは何で夢に再改造を頼んだ?
 オレが怒ると思わなかったわけじゃないんだろ?」
「え・・・?あ、はいっ!」

突然の問いかけに、一瞬呆気にとられる鈴。
しかし今の啓太によけいなことはできないと思ったのか、あわてて啓太の質問に答えた。

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