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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 196

 アレじゃテロか大量虐殺しに来たようにしか見えないぞ!?」
「それについては申し開きもありません。
 ですが今は一刻も早く、ベンケイとバルキリーを止めるべきではないのですか?
 感情に任せて2人を見殺しにしたいのなら別ですが」

クロックの的を得た言葉に啓太は思わず言葉に詰まる。
クロックはそのわずかなスキを見逃さずにさらなる追撃を入れる。

「それで夢・鈴・パラサイトの3名はご一緒なのですか?
 でなければ作戦の成功率が大きく減少してしまいますので」
「・・・ここにいるのは鈴だけだ。
 夢とパラサイトはオレん家に置いてきた」

内心の怒りを懸命に押し止めながら、啓太はかろうじて返事をする。

「かしこまりました。夢たちは私の部下に迎えに行かせましょう。
 現場へのご案内はこのクロックが務めさせていただきます」
「んなことはどうでもいい!
 早くベンケイのバカを止める方法を教えろ!」

啓太の言葉に、クロックはわずかな沈黙の後に訊ねた。

「・・・夢から作戦内容を聞いていないのですか?」
「あんなヤツの力なんていらない!
 オレと鈴だけでベンケイを止めてみせる!」
「威勢のよさは認めますが、それだけで勝てたら苦労はいりません。
 ご再考を」
「うるさいっ!コレは命令だ!」

クロックは電話の向こう側でもわかるくらい、ハッキリとため息をつくと返事をした。
それは諦めにも失望ともつかない重いため息。

「・・・啓太様。あなたはずいぶんと夢に甘やかされているようですね。
 今度彼女とあなたの教育方針について話し合う必要がありそうです」
「なっ、何だと!?」

突然クロックから子ども扱いされ、憤りよりも先に戸惑う啓太。
彼女は突然何を言おうとしているのだろうか?

「啓太様。我々怪人は基本的に主人であるあなたの奴隷です。
 しかしそんな我々にも1つだけ逆らうことのできることがあります。
 主人であるあなたを命の危険にさらすことです」
「・・・何だよ、それ。オレの力じゃベンケイを止められないって言うのかよ!?」
「その通りです」
「ふざけんな!!怪人の力を手に入れた今のオレが、役立たずの邪魔者だって言うのかよ!?」
「啓太様。うぬぼれるのもいいかげんにしてください。
 今のあなたの力は、あくまで自分自身を守るための力。
 我々の主人であるあなたを守るために、我々があなたに与えた力です。
 そして我々は捨て駒として作られた戦いの道具。
 こと戦いにおいては、あなた以上に判断する力があるのです」

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