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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 193

見てみればベンケイの目はイブたちとの戦闘で機能しなくなっており、あの謎の攻撃の発動条件『目を合わせる』ことができなくなってしまっていたのだ。
あの攻撃ができないとなると、シャーマンには手の打ちようがなく、かと言ってビーストの鉄拳攻撃を加えるわけにも行かずに途方にくれていたのであった。

「しかしどーするよ!?このままじゃ、いつコイツが問題起こすかわかりゃしねーぞ!?」
「わかってる。ちょっと手荒いが、私がやろう」
クロックはそう言うと、懐から懐中時計を2つ取り出し、ベンケイの足に目がけて投げつける。
懐中時計は狙いを外すことなく彼女の足に絡まり・・・。

「許せよ」

ボンッ!!

「ッあ!?」

小さな爆裂音とともに時計が弾けた。
クロックの攻撃技の1つ、懐中時計型爆弾である。
両足を吹っ飛ばされたベンケイは短い悲鳴を上げながら地べたに転がる。
止まったか――?

「う・・・がぁっ!!」

爆弾で吹っ飛ばされたにも関わらず、ベンケイの足はいまだに原形を保っていた。
足を攻撃されたベンケイは、怒りに身を任せ、力任せに右手を横になぎ払う。
瞬間、彼女の右腕から衝撃波が放射されてビーストたちを襲う。
3人はとっさに地面に伏せて攻撃をやり過ごすも、外れ玉が建築物にかすり、ものの見事に半壊させる。

「ああッ!?このバカ、『また』町を壊しやがって!」
「今の攻撃でも足が残っているとは驚きだな。
 さすがはエウレカシリーズと言ったところか」
「いや感心してる場合じゃねえし!
 どうすんだよ!?これ以上力を込めたら殺しかねねーぞ!?」

ベンケイを殺せば被害は最小限で、問題は最速で解決できる。
しかし啓太が無益な殺生を望んでいない以上、それは控えなければならない。
まして相手は啓太の所有物。
主人の持ち物を勝手に処分するわけにも行かない。
クロックは懐から通信機を取り出すと、別行動を取っている仲間に連絡を入れる。

「バルキリー、準備のほうはどうなっている?
 こちらはもう手詰まりだ。これ以上はヤツを足止めできん」
『・・・お待たせしました、クロック様。
 こちらの準備がようやくできました。
 あとは私が啓太様が来るまでの足止めをやります!』
「わかった、後を頼む」

クロックはそれだけ言うと通信を切った。
バルキリーの言う『準備』とは一体何のことなのだろうか?

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