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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 192

「仕方ないさ。遅かれ早かれ、啓太様はこれから私たちには想像もつかない辛い思いをされていく。
 その思いを少しでも減らすためなら、悪役でも何でもこなしてみせるさ」

力なく笑いながらそう言う夢。
悲壮なまでのその笑顔から、啓太に嫌われたことへの精神的ダメージの大きさがうかがい知れる。
その様子にパラサイトはため息1つついて夢にアドバイスを送る。

「アンタねぇ・・・。
 仮にも啓太様の所有物を名乗るんだったら、もう少し啓太様のお気持ちも考えなさいよ。
 あの方は私たちと違って繊細なんだから」
「む。仕方ないだろう?
 今のうちから啓太様を鍛えておかんと、世界を掌握するときに支障が出かねん。
 啓太様にはこの世界を統べるにふさわしい王になってもらわねば」

2人から責められ、少し気分を害した夢は少し向きになって反論する。
悪の道に引きずり込もうとするヒロインって一体・・・。

「とにかく我々も早く戦場に向かおう。
 一刻も早くベンケイのバカを回収しないと、啓太様にどんな危険が降りかかるかわからない」

ベンケイより啓太の身の安全を気にかける夢の言葉に、パラサイトと雅は力強くうなづくと、3人も急いで戦場へと駆けていくのであった。

――――

その頃。戦場では血まみれのベンケイたちを相手に、ビーストたちは必死の説得を試みていた。

「啓太殿・・・!?啓太殿ォッ!?」
「だーっ!!さっきから啓太様啓太様うるせえんだよっ!?
 敵に聞かれたらどーするつもりだっ!?」

ビーストはゾンビのごとく移動を進めるベンケイに、怒声を張り上げる。
しかしベンケイはそれすら聞こえていないのか、ただ愛しい主人の名前を呼びながらのろのろと歩を進める。
その様子は壮絶ながらも、親や主人を捜し求める犬か子供のようだった。

「肝心なときに新入りは役に立たねえし・・・っ!」
「まったくだな。
 正義の味方をまとめて3人倒したかと思えば、こんな落とし穴があろうとは・・・」
「も、申し訳ありません・・・!」

ビーストの苦言にクロックは同意し、シャーマンは自らの無力さをひたすらに謝っていた。
正義の味方3人を倒した彼女たちは、本部への帰還と同時にベンケイの暴走を知ってここまでやってきた。
そして全身凶器の彼女を捕獲するべく、正義の味方を旬刷したシャーマンの一瞥をくれてやろうとした、まではよかった。
しかし何度やってもベンケイは気絶どころか何のダメージもなく、歩き続ける。

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