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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 188

夢は懐から携帯電話に似せた通信機を取り出し、基地に連絡を入れる。
作戦終了を伝えるためだ。

「本部。こちら、夢」
「夢さま!?よかった、やっと繋がった!
 何度みなさんの通信機に連絡を入れようとしても繋がらなくて・・・!」

何やらあわただしい様子に、夢の顔色がわずかに変わる。

「作戦行動中のため、電源を落としていたんだ。
 何か、あったのか?」
「は、はい!
 警備部部長ベンケイ・ウォール様がイブ様とミラージュ様の妨害を突破し、啓太様を追って行かれました!」
「何だとッ!?」

夢と情報部のやり取りが聞こえない啓太たちは、突然の大声にビックリする。
ただ1人、その内容が聞こえていた雅だけは夢と同じ驚きを見せていたが。

「あの2人がベンケイを逃がしただとッ!?
 何かの間違いではないのか!?」

衝撃の事実に、夢はたまらず確認を取る。
あの拘束された状態で、2人の幹部怪人を相手に逃げおおせるとは思えなかったのだ。

「事実です!ベンケイ様は自力で拘束具を破壊し、壮絶な戦いの末にお2人の妨害を振り切って行かれました!」
「・・・ッ!!」

夢の顔が苦虫を噛み潰したようにゆがむ。
確かに拘束具のない状態なら、同じ幹部クラスの妨害から逃げ切ることは可能だ。
しかしあの特製の拘束具を自力で破壊するとは・・・!
だが今は後悔をしている場合ではない。
夢は瞬時に思考を切り替え、現状の確認を急ぐ。

「ヤツの状態、居場所は特定できているのか!?」
「ハイ!しかしベンケイ様は現在、イブ様ミラージュ様との戦闘で視覚を失い、街中を破壊しながら迷走している状態です。
 正義の味方が現れるのも時間の問題かと!」
「!!」

最悪だ。夢はそう思った。
夢からすればベンケイなど死んでもかまわない存在だ。
しかしそんなことをすれば、啓太は嘆き悲しむだろう。
そればかりかこのミッションの責任者である夢をなじり、最悪捨てられることにもなりかねない。
主から役立たずのレッテルを貼られる挙句に廃棄される。
それは怪人にとって考えるのも恐ろしい、最悪の結末だった。

「くっ・・・!追跡・回収の手はずはどうなっている!?」
「現在、ベンケイ様の足止めにバルキリー様が、そしてその応援にクロック様・ビースト様・シャーマン様の3名が向かわれました!
 作戦部の怪人は付近の住民の避難に当たっています!」
「イブとミラージュは!?」
「治療が完了しだい出撃するとの事です!」

夢は即座に計算する。
攻撃力を極限まで高めたあのベンケイを生け捕るには真正面からの戦闘は得策ではない。
ミラージュのような搦め手やイブのような変則攻撃を使うタイプが望ましい。
しかし現在の状況を考えるに、治療中の2人は当てにできない。

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