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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 175


啓太がスーパーで買い物をしていたその頃。
夢は突然、鈴と空に啓太の母、京子を迎えに行こうと言い出していた。
無論この提案に糸田親子は目立ってはいけない自らの立場も忘れて大声を上げた。
まあ、無理もない。
リリス(雅)のジャマをしようという目的で他の囮チームは協力しているというのに、自分たちはちゃっかり抜け駆けしようと言うのだから。
どんなに秘密裏にしようとしても、作戦部の怪人連中がいたるところで目を光らせている。
まずバレないことはありえない。
だというのに抜け駆けしようと言うこの根性・・・。
そろそろ夢の腹黒さには恐ろしいものを感じてくる。

「心配ない。我々が啓太様のお母さまの身を案じて迎えに行ったということにすれば、十分言い訳はできる」
「で、でも!
 勝手なことをしてお母さまにご迷惑をおかけしたら、私たち間違いなく啓太様に嫌われますよ!?」

空の必死の説得にも、夢はどこ吹く風といったご様子で答える。

「問題ない。啓太様は正義の味方に目をつけられている。
 敵が啓太様の身辺を探ろうとしてその家族に近づくことは十分ありうる。
 いくら啓太様と言えど、大切なご家族を守ろうとした我々を罰するなどと言うことはしないはずだ。
 それとも何か?
 おまえたちはご主人様との仲をより強固なものにしたいとはおもわんのか?」
「「うっ・・・!」」

そう言われるとさすがの2人も反論できない。
いくら幹部怪人の役職についているとは言え、2人はひ弱だ。
ライバルの多いこの状況を少しでも改善したいと思うのは当然の欲求であった。
2人の心が大きく揺れ動いたのを察知した夢は懐からすばやく携帯を取り出し、作戦部に連絡をつけた。

「こちら夢だ。これより我々は万が一の可能性を考え、啓太様のお母さま、京子様の警護に当たる。
 京子様がどこにいらっしゃるか、情報をくれ」

返事待たず、勝手に話を進まされた2人は本日1番の悲鳴を上げたのだった。
そしてそれからあからさまな抜け駆け行為に不満を漏らす情報部の怪人たちをなだめながら、夢たちは駅へとやってきていた。
啓太の母『乱宮京子』がここに来ることを情報部がつかんだのである。

「うう・・・。帰ったらおつとめ(夜伽)のスケジュール調整をしないと・・・」
「お、お母さん、元気出して!
 私もがんばるから!」
「2人とも、何を落ち込んでいる?
 これからがリリスに一矢報いる本番だぞ!?
 しゃっきりしろ!」

夢が鈴と空に叱咤激励を送るが、糸田親子の表情(特に鈴)の表情は暗い。

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