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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 174

啓太はとっさに母親であろう来客を出迎えるべく立ち上がるが、刀と雅がすばやくそれを制す。
2人はあくまで啓太の警護だ。
たとえ来客が母親であろうとも、啓太に危害が及ぶ可能性がある以上、彼を止めなければならなかった。
刀と雅は互いにアイコンタクトで意思を交わすと、刀は1人玄関へと向かっていく。
少し間をおいてから相手を確認。
ミッション前に渡された資料に載っていた、啓太の母親だ。
だが油断することなく、いつでも左手の刀を抜ける状態で扉を開く。
すると・・・。

「――ッ!?」
「すみません、乱宮啓太の家はこちらでよろしいでしょうか?」
「あ・・・ああ、はい。ここで間違いないですよ」

違う言葉が出そうになるのを何とか飲み込みながら、刀は努めて明るく優しく返答する。
そしてたった今気づいたように、こう答える。

「あら?みなさんもご一緒だったんですか?――夢さん」
「ええ。たまたま駅前でこの方とお会いして。
 で、ちょっと啓太さんを驚かせようと思ってここまで案内したんです。
 驚きました?」

いけしゃあしゃあとのたまう夢。
計画では雅の邪魔をしようということだったが・・・。
啓太の母親に同行してくるなんて、何を考えているんだと刀は文句の1つも言ってやりたい気分だった。

「・・・そりゃあ、驚きましたよ。
 いきなりドアのチャイムがなるんですもの。
 さあさ、とりあえずみなさんお上がりください。
 啓太さんも首を長くして待ってたんですから」

刀はそう言いながら啓太の母親を夢たちと一緒に部屋に上げる。
どうせ彼女のことだ、適当なことを言って部屋に上がってくるに違いないのだから。

「すみません、それでは失礼します」

夢と刀との火花飛び散る攻防など気づきもせずに、啓太の母、乱宮京子は急ぎ足で家に入る。
そして間もなくして、奥の部屋から再会を喜び合う乱宮親子の声が聞こえてきた。
玄関では今にもドンパチやりそうな雰囲気の夢と刀を残して・・・。

(お・・・お母さん、わ・・・私たちも向こうに行ったほうがよくない?)

逃げるタイミングを失った空が怯えながら母に必死のアイコンタクトを送る。

(わ、私もそうしたいのは山々だけど・・・。
 今、このお2人を放置したらかえってまずい気がするんだけど)
(わ、私だってそう思うけど!
 sれじゃお母さんはどうやって2人を止めるってゆーのよ!?)

一触即発のこの事態。やはりあの時に夢を止めるべきだったかと、糸田親子は後悔した。
時間はこれより数十分前にさかのぼる――。

――――

「ええっ!?偶然を装って啓太様のお母さまに売り込みに行くぅっ!?」
「しょ・・・正気ですか、夢さま?!
 もしみんなに知られたら殺されかねませんよ!?」

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