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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 172

「ふふっ、その通りです。
 さ、暖かいうちにお召し上がりください」

ナイトメアに勧められて早速食べてみる。
味見した料理もうまかったが、これもうまい。
特にブリの照り焼きの焼き加減が絶妙だ。
啓太は何度も繰り返し『うまい』と『すごい』と2人の怪人を褒め称えながらあっという間に料理を平らげる。

「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまです」
「こうもキレイに食べてもらえると、作った側としてうれしい限りだな」
「いや、お世辞抜きでホントにうまかったよ。
 で、そのお礼ってワケじゃないんだけど・・・2人にプレゼントしたいものがあるんだ」
「「『プレゼント』?」」

まさか主である啓太から何かもらえるとは思っていなかった2人は、声をそろえて目を丸くした。
そんな2人に差し出されたのは1枚の紙切れ。
そこには小さく書かれた彼女たちの名前の横に、大きく書かれた見知らぬ名前が書かれている。

『ナイトメア・・・黒羽 刀(くろば かたな)』
『リリス・・・小森 雅(こもり みやび)』

「こっ・・・これはっ、まさか・・・!」
「我らの・・・名前か?」

それの意味することを理解した2人は、驚きを隠せないと言った様子で啓太に迫る。
ものすごい気迫に少々押されながらも啓太は答える。

「あ、ああ。
 ホントはもっと早くにあげようと思ってたんだけどね。
 なかなかいいのが思いつかなくって、時間がかかっちゃったんだ」

その言葉にナイトメアは胸に手を当て、恋する乙女のようにあふれ出る感動に酔いしれていた。
啓太から名前をもらう。
それは彼女にとって、啓太にその存在を覚えてもらった証。
そして夢たちのように啓太に近しい存在となった証である。
啓太のそばで役に立ちたいと願っていた彼女にとってこれほどうれしいものがあるだろうか?
いや、存在しないだろう。

「ありがとうございます、啓太様!
 私、ナイトメア・・・いえ、黒羽刀はこれからも啓太様のお役に立てるように精進いたします!」
「はは、そんなに気張らないで。
 オレにはこれくらいのことしかできないんだからさ」

苦笑する啓太は知らない。
自分がお世話になっている相手へのせめてものお礼と渡したものがどれほど彼女の心を打ったのかを。
しかしその横で何とも複雑な顔をしている女がいた。
リリスだ。
急に呼び方を改められられた彼女は、まるで自分の名前が啓太に迷惑をかけているように感じられたのだ――。

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