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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 169

何度殺しても蘇る不死身の軍隊。それが軍隊怪人イブ・ジェネシス(創世の聖母)である。
しかしその不死身の怪人も予想以上のベンケイの攻撃力に、内心で舌を巻いていた。
いくら不死身に近いとは言え、物事には限度がある。
何より自分が生き残っても、彼女を逃がした時点で敗北は必至である。
イブはこの時、今までの状況からベンケイを冷静に観察する。
そして永遠とも思える刹那の間に、イブはある作戦に打って出ることにした。

「ミラージュ!」
「は、はいっ!?」
「ヤツは筋力に特化した近距離戦闘型だ!
 接近されないように幻で撹乱しろ!
 間違ってもヤツに触れようなんて思うな!
 おそらく攻撃を見切ってかわしたところで衝撃波で私の二の舞になるぞ!」
「は、はいっ!」
「させるかっ!」

ミラージュが幻術を使おうとするより早く、その息の根を止めるためにあの瞬間移動でミラージュの前に移動する。
そして自慢の鉄拳でミラージュに風穴を開けようとした瞬間!

グイィィ・・・ッ!

「なっ・・・!?」

右腕に付着した赤黒い物体が、まるで生き物のように振り上げた右腕に巻き付き、動きを阻害する。
ベンケイが驚いたスキに、九死に一生を得たミラージュはすばやく間合いを取る。

「く・・・っ!?こ、これは一体・・・!?」
「忘れたか、ベンケイ。
 それは貴様が私の腹をえぐったときに着いた血肉の一部。
 それを遠隔操作で操り、動きを封じさせてもらった」

肉を切らせて骨を断つ。
まさに群体を持つイブだからこそできる芸当であった。

「くっ・・・!それがどうした!?
 このようなもの、拙者の力で吹き飛ばしてくれる!」

予想外の反撃に焦ったベンケイは右腕に力を込め、巻きつく血の拘束を吹き飛ばす。
だがイブの表情には焦りはない。
氷のような冷たい視線で、イブはベンケイを見つめていた。

「・・・ミラージュ。確かにヤツは手強い。
 真正面から突っ込んでも、勝ち目ないだろう」
「イブ様・・・?」
「だがいかに強靭な肉体を持っていようと、それが無敵に繋がることはない。
 言いたいことはわかるな?」

敗北宣言かと思いきや、突然謎かけをしてきたイブに、ミラージュは一瞬きょとんとしたものの、すぐにその意味を理解して力強く頷く。

「・・・ハイ!お任せください!我が警備部の部長にしかとお教えいたします!
 真の力とは心・身体・技の3つがそろってこそ意味を成すものだということを!」

そして目覚めたベンケイとイブ&ミラージュコンビの第2ラウンドが幕を開ける。
その結末は啓太が帰還したときまでのお楽しみに取っておこう。
それでは再び啓太たちのほうに話を戻そう。
最近、主人公がめっきり影を薄くしているようだから。

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