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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 167

「く・・・くく・・・。全て承知の上のコト・・・っ!
 今、ここで啓太様への忠義、すなわち愛を見せずして一体いつお見せする!?
 このようなことで死ぬやわな身体であれば・・・っ!
 命など、元から・・・不要っ!!」

うわあ、ヤンデレ入ってるよ、この人。
ベンケイはそう言うと、薙刀で胸まで切り裂いた傷口に両手を突っ込む。

「お待ちください、啓太様!
 このベンケイ、真の姿にてお迎えにあがりまするッ!!」

そして、自慢の怪力に物を言わせ、一気に自分の身体を引き裂いた。
傷口から大量の血を噴出し、力なく仰向けに倒れるベンケイ。
一体彼女は何をしたかったのか?
突然自決して死んでしまった彼女の遺体に、イブとミラージュは近づくどころか戦闘体勢を解くことなく、死体と向き合う。

「・・・イブ様。封印は解けたと思いますか?」
「わからない、・・・が。
 あれだけ啓太様をお慕いしている女が、そう簡単に死ぬとは思えない」

イブがそう言った瞬間、ベンケイの死体から再び大量の血液が宙に舞った。

「ッ!!」
「・・・やはりこのままでは終われない、か」

死体はガクガクと痙攣を繰り返し、そのたびに鮮血が飛び散る。
やがて死体からミチミチとイヤな音が響いてくる。
そして――!

ギゴチュッ!

死体から、腕が生えた。
腕は死体の痙攣に合わせるように虚空を泳ぎ、そのたびに死体から肉の裂ける音や骨の砕ける音を撒き散らす。
それはまるで、死体から生まれ出ようとしている怪物の誕生を連想させた。
やがてベンケイの死体から現れた腕はその正体をあらわにする。
それは見目麗しくも禍々しい血まみれの美少女だった。

「イブ様・・・!」
「・・・久方ぶりに拘束具を脱いだ気分はどうだ?ベンケイ」
「最っ・・・高の・・・。気分でござるよ」

焦るミラージュを無視して、イブが声をかける。
すると血まみれの少女は不気味なまでの優しい微笑みで答えた。
そう。先ほどまでベンケイ・ウォールと呼ばれていたモノはベンケイ・ウォールではない。
死体から飛び出してきたこの少女こそが、ベンケイ・ウォールの本当の姿なのだ。
一体これはどういうことなのか?
それには彼女の出生について語らなければならない。
怪力怪人ベンケイ・ウォール。
彼女は強すぎるゆえにレフトファンによって封印された、『エウレカシリーズ』と呼ばれる怪人であった。
エウレカシリーズに指定された彼女は、本来その危険性から死ぬまで日の光を見ることなく保存カプセルの中で眠り続けるはずだった。
しかし啓太たちによって組織は壊滅。
彼女は啓太の優しさによって長き眠りから目覚めた。
しかしこの時、彼女の力を恐れたレフトファンによって特殊な拘束具を着せられていた。

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