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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 161


「・・・わからん」

啓太はその答えにちょっと驚いた。
てっきり高級食材を大量購入しようとするんじゃないかと思っていたのだ。
だから啓太はリリスが素直に答えたことに驚き、少しばかりの好感を持った。

「よろしい。なら今から教えてやるから、しっかり覚えておけ」
「よ・・・よろしく頼む」

こうしてリリスは啓太の母が来るまでの間、一般常識について啓太直々の指導を受けることとなった。
リリスとしては、将来の啓太の妻として売り込もうと思っていたわけだから、思わぬところで自分の欠点を教えてもらい、渡りに船であった。
しかしそれをうらやましそうな視線で見つめるものがいた。
先行して啓太の護衛に当たっていた作戦部の怪人たちである。
啓太直々のレクチャーだけでもうらやましいのに、はたから見ればデートさながらの雰囲気だ。
嫉妬の対象にならないはずがなかった。
次々と怪人たちの間で不満の通信がやり取りされる。

「クラウドたいちょお〜!うらやましいですぅ〜!」
「隊長!いくら幹部とは言え、あそこまでの行為が許されるのですかッ!?」
「ああっ!?あんなに密着して・・・許せない!」

不満たらたらの部下たちに、啓太の警護の部隊長をやっていたスカン・クラウドは激怒の返信を送る。
当然だ。いちいち私情を挟んでいたら、自分の命はおろか主人の啓太の命だって危ない。

「やかましい!そんなに目をかけてほしければ、もっと啓太さまのお役に立つように努力しろ!
 だいたいこんな簡単なミッションすらこなせないようでは啓太さまに目をかけていただくことすら怪しいぞッ!?」

部隊長の怒声に、部下たちはあわててそれぞれの任務に戻る。
とは言え、クラウドだって啓太の所有物。
気にならないはずがなかった。
しかし彼女は耐える。
主に目をかけてもらうにはとにかく力をつけることが何よりの近道だったからだ。
腕力・権力・魅力・・・。ありとあらゆる力を磨かねば啓太に近づくことさえできないシステムが組織には、ある。
例えば閨のとき。
基本的に閨は当番制となっていて、みんな平等にかわいがってもらえるようになってはいる。
だがもしここで啓太に気に入られれば、その分啓太に近づくことができるのだ。
だからクラウドは耐える。
こんな簡単なミッションでつまづいては一生啓太のそばにはいられないから。
そんな乙女の理性と本能の熾烈な戦いなど知る由もない啓太とリリスはレクチャーを終え、レジに向かっていた。

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