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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 160

「え・・・ええい黙れ黙れぇッ!!
 貴様らに啓太さまのお役に立てないものの気持ちがわかってたまるかぁッ!?
 名前どころか、その存在すら覚えてもらっていないものの気持ちがわかるかッ!?
 我らはその存在を認知してもらうためにも、行かねばならぬのだァッ!!」

・・・ううっ、開き直りとはいえ、耳に痛いセリフを!
ベンケイは作者泣かせのセリフを吐きながら、残った戦力を引き連れて猛然とイブとミラージュに襲いかかる。
迫り来る途方もない数の敵を前に、2人は引くことなく悠然とその場に立ち塞がる。

「・・・おまえたちの気持ちはわからいでもない」
「しかしそれを許せば組織は維持できず、必ず啓太さまのお命を脅かすことになるでしょう」

2人は悲しげな表情でそう言うと、おもむろに手をかざして戦闘態勢をとる。
イブの腕からは巨大な杭が。
ミラージュの身体からは異形の怪物の幻がそれぞれ出現する。

「・・・管理部部長、軍隊怪人イブ・ジェネシス。参る」
「警備部副部長、幻夢怪人ミラージュ・フォックス!
 参ります!」

そして再び戦いが始まった。
自らの存在意義を全うしようとする、壮絶でくだらない戦いが。
たぶんミッションが起こるたびにこんなくだらないケンカが起こるのだろう。
早く啓太に気づいてもらいたいものである。
それではそろそろ啓太たちのほうに舞台を戻そう。
今、啓太たちがいるのは地上。
啓太の母をもてなす食料を購入するために近場のスーパーに向かっているところである。

――――

「・・・なぁ、啓太」
「何だ、リリス?」
「なぜ我々はスーパーで買い物なんかしてるんだ?」

ここは啓太のマンションに程近いところにあるスーパー。
早々に啓太の母親を紹介してもらえると思っていたリリスは、不満たらたらといったご様子で啓太に尋ねた。
しかしここ1週間の怪人との共同生活である程度の免疫のついた啓太は動じることなく質問に答える。

「母さんが来たときに、オレはキチンと自炊できてるから大丈夫だってアピールするため」
「・・・そんなの、ミッションに出動している作戦部の連中に頼めば済む話じゃないか?」
「却下。世間知らずのおまえらに頼んだら何買ってくるかわからん」
「・・・もっと私たちを信用してくれてもいいと思うのだが」
「じゃ、オマエだったら何を買ってきてくれるんだ?」

啓太の質問にリリスはしばし黙考。
レーダーでこっそり周囲の情報を収集するも、統一性がなさ過ぎて参考にならない。

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