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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 157

夢の過保護なまでの啓太への態度が実を結んだ結果と言えよう。

「あまり油断するなよ、2人とも。
 作戦がバレないように細心の注意を払っているとは言え、相手はあのリリスだ。
 情報部!他の囮チームにも油断のないよう、連絡を入れておけ」
『了解!』

ちなみにこの裏の作戦には夢・鈴・空・バルキリー・ビーストの他5名の幹部が参加している。
うち2名は汚れ仕事担当の特務部の者だ。
彼女らは啓太に迷惑をかけるのを嫌がって参加を辞退していたが、バレた時のために夢が協力を頼み込んだのである。
他にも参加を希望した部署もあったが、大人数での行動は目立つためくじ引きで今のメンバーを決めてある。

「ナイトメアさまには悪いことしちゃいましたね」
「仕方あるまい。ビーストは戦闘しかできんからな」
「まぁ、そこをデパ地下の限定スイーツ1ヵ月分で納得してくれたんですからいいじゃないですか」
「・・・待て。何だそれは?私は聞いてないぞ?」
「ばっ・・・空!あなた何をしゃべって・・・!」

どうやらこっちもこっちで一悶着ありそうな様子である。
それではこちらが落ち着くまで他の囮チームの様子でも見てみよう。

――――――――

ピチョーン・・・。

「はあ・・・。まったく、ツイてないぜ」

ここは啓太とは違うところを走る地下水道。
ビーストはブツブツ文句を言いながら何度目かのため息をついた。
その原因は啓太の警備につけなかったことだけではない。
一緒に組むこととなったパートナーたちがこれ以上なく相性の悪い相手だったからだ。

「何をブツブツ言っている。さっさと来い。
 こうしている時間さえもが惜しい」

ビーストが恨めしそうに見やるその先には、白髪の麗人がいらだたしげにこちらを見つめていた。
紺色の燕尾服に身を包みながらも隠し切れていない、はちきれんばかりのプロポーション。
気の強そうなつりあがった真紅の瞳につけられた片眼鏡。
そしてかっちりとした服装に似合わぬ白の長髪から飛び出たウサギの耳。
彼女の名前はウサギ怪人『クロック・オクローク』。
営業部で副部長を務める才女であった。
そしてその傍らには何とも奇妙奇天烈な格好をした少女が、いた。
巫女さんルックのその少女は、不釣合いなほど大きな木製の枷で両手を縛られ、両目を厳重なほど強く縛られている。
さらに首には無骨な首輪をチョーカー代わりにつけており、そこから伸びた鎖がクロックの右手に握られている。

「・・・あのな。
 開発部が新しく作った怪人の実力を見たいのはわかるが、落ち着け?
 オレたちゃ、大将を安全に移動させるためのおとりなんだからよ」

ビーストは聞かん坊を諭すように、できるだけ優しく、わかりやすく説明してやる。

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