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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 156

「リリス様まで何をおっしゃるのですか!?
 そもそもあなたの前では基地内の情報など全て筒抜けでしょう!?」
「そうなんだけど、ね」

そう言って口を濁すリリス。
サキュバス型の怪人である彼女の能力の1つに、レーダー機能がある。
全身から特殊な超音波を発してそこから周囲の状況を探ることができるのだ。
盗聴器つきの潜水艦のソナーみたいなものだと思えばいい。
その性能はそれとは比較にならないほど優秀だが。
その自慢のレーダーが異変を感知しなかった以上、問題は何もないはずなのだが・・・。
自分の抜け駆けをアッサリ許した夢たちに、さすがの情報部部長も警戒せずにはいられなかったのだ。

「・・・私の気のせいのはず、なんだけど」

リリスはそう言いながら、背後の暗闇に目を向ける。
それは自分の心に巣食う不安を暗示しているかのようだった。

――――――――

「ふ・・・ふふ・・・フフフ・・・」

所変わってこちらは夢。
彼女は啓太が選択しなかったマンション侵入ルートにて囮役の護衛として行動している。
今、彼女は愛しの啓太と別行動をとっているというのに、上機嫌で笑いをかみ殺していた。
夢は懐から連絡用の無線機を取り出すと組織の情報部に連絡を入れる。

「私だ。啓太さまたちに異常はないか?」
『こちら情報部。異常ありません。お2人とも、あまりに事がうまく進みすぎたことを怪しんではいますが、それだけです』
「む・・・少し偽装が甘かったか。
 まぁいい。今さら気づいたところでもう何もできんのだからな。
 せいぜい嫌がらせの電話をするくらいものさ」

そう言ってクスクス笑う夢。
その笑顔はまさに悪役のそれである。

「しかし考えられましたね、夢さま。
 啓太様がリリス様を紹介する前に先回りをし、啓太様のお母さまに自分たちを紹介するだなんて」
「くくく、そうほめるな。鈴」
「ホントにすごいですよ、夢さま!
 確かに囮役なら啓太様たちの目を逃れるだけでなく、啓太様のお母さまの護衛をする言い訳もできます。
 おまけにリリス様より先んずることで啓太様のご学友やお隣さんなんてオイシイポジションを取り放題!
 一石二鳥どころか三鳥くらいの作戦じゃないですか!?」

夢が考えた真の作戦の全貌に、鈴・空親子が惜しみない賛辞を夢に送る。
啓太たち本隊にしてみても、まさか主である啓太を置いてその母親を狙うだなんて想像だにしていないだろう。

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