世界の中心で平和を叫ぶ。 151
「え・・・ええぇえッ!?」
「け、啓太さまのお母さまがっ!?」
「い、いかんっ!早くご挨拶の準備をせねばっ!?」
「待てや、ナイトメア!テメー、何1人で抜け駆けしようとしてやがるっ!?
鈴!オマエもさりげなく復活して化粧なんざしてんじゃねえっ!」
啓太の母親と聞いて、驚いたのは息子の啓太ばかりではなかった。
ここぞとばかりに自分を売り込もうと考えるバカな幹部怪人たちがどたばたと慌てふためく。
落ち着き払っているのは夢とイブ、そしてバルキリーの3人だけだ。
「はははっ、予想通りのリアクションが見れてうれしいよ」
「遊びすぎだ、リリス。
それなりの対処はしてあるのだろうな?」
『え・・・?』
夢の一言に慌てていた連中は呆気に取られてリリスを見る。
するとリリスは残念そうに肩をすくめ、種明かしを始めた。
「読まれていましたか。さすがは総司令官だけのことはある。
あなたのおっしゃるとおり。
こちらのほうで手を回して、啓太の母親の到着を遅らせてある」
「・・・なんで啓太さまのお母さまを安心させる手を打たない?
お前の実力ならそんなこと簡単だろうに」
「何、ちょっとお願いしたいことがあったからね。
時間を稼いでいたんだ」
「・・・『お願い』?」
「そう。私を啓太の母親に紹介してほしい。
簡単なことだろ?」
「なっ・・・!?何だとぉっ!?」
とんでもない発言に、啓太は驚きの声を挙げ、夢・鈴・空・イブをのぞく全ての幹部怪人たちが己の拳や武器をリリスの身体のすぐそばに突き立てていた。
鈴はリリスの一言で気を失い、空が必死に介抱していた。
イブは今にもリリスを殺しそうな連中を顔色1つ変えずに牽制している。
こんなことで殺し合いなんてするなと言わんばかりに。
「リリス。何を言っているのか、わかっているのか?」
「もちろん。普段から激務に追われている我々情報部にも、オイシイ思いをさせてくれという、ささやかなお願いだよ」
一歩間違えれば死ぬかもしれない状況で怒気を含んだ夢の恐喝にも動じずに微笑むリリス。
話題の中心となっているうらやましい立場の男は、自分がいかに危ないハーレムの主になったのかを再認識せずにはいられなかった。
「と、とりあえずその物騒なものをしまえ!
夢!おまえも殺気立ってないで手伝え!」
「やっぱり優しいな、啓太は。
子宮がズクンとうずいてしまうよ。」
「おまえは挑発すんな!」
本気なんだが、とつぶやくリリスと抜け駆けしようとする彼女に殺気立つビーストたちを何とか抑え、話し合いの場に戻らせる。
「・・・と、とにかく。
オマエを母さんに紹介すれば、後は何とかしてくれるんだな?」
「もちろん。ついでに今夜一晩中抱いてくれるなら、もっとサービスさせてもらうぞ?」