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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 150


「情報部へよく来てくれたな、啓太。
 私がこの情報部の部長、リリス・ヴァンパイアだ。
 気軽にリリスとでも呼んでくれ」
「り、リリス様!啓太さまに向かってその口の聞き方は・・・!」
「何を言っている。ウチの啓太がそんな心の狭い人間のはずないだろう?
 主人を敬愛するのは当然としても、そのやり方にまで口を挟むのはどうかと思うぞ」

・・・どうやらこれでも気を使っているつもりらしい。
そんな気は微塵も感じられないが。
今まで自分を見ると、途端に神棚に祭らんばかりの勢いで平伏するというのに、めずらしいタイプである。

「啓太も気軽に呼び捨ててくれるほうが好みだろう?ん?」
「は、はあ・・・」
「なら問題はないな。今、茶でも用意するからその辺のイスに座っていてくれ」

リリスはそう言うなり、客人たちにお茶を出すべくインスタントコーヒーを淹れ始めた。

「・・・な、なんか今までの部署とは感じが違うね」
「ここはたくさんの情報を取り扱う場所ですから」

聞けばここにいる怪人の多くは音に関する能力を持つ怪人や一度に複数の仕事をこなせる触手などを持つ怪人が多いらしい。
見ればミイラ怪人が包帯を腕代わりにしてコンソールと向き合いながら後ろのウサギ怪人に書類を手渡していたり、クモ怪人やイカ怪人が神業のような動きでコンピュータを動かしていた。
そんな働く怪人お姉さんズを見ているうちに、リリスがコーヒーを持って戻ってきた。
「待たせたな。・・・さて、せっかく来てもらったんだ。
 あいさつ代わりにおもしろい話の1つでもさせてもらうとするか」

そう言うリリスの表情はどことなくうれしそうで。
まるで大好物を前にした子供のそれを連想させた。

「さて啓太。君が以前住んでいたマンションのことは覚えているか?」
「あ、ああ」

いきなり話を振られ、戸惑いつつも啓太は答える。
今はもうボロボロになってしまった我が家。
怪人である夢・鈴・空との出会いの場所。
そして全ての始まったあの出発点。
忘れようにも忘れられない大切な居場所であった。

「この間の騒ぎを聞きつけて、君の母親が君の行方を捜している。
 連絡もつかないものだから、すっかり不安になって君の家に向かっているよ?」

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