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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 147

「啓太さま、下がって!今のベンケイに触ってはなりません!
 触れただけで身体を破壊されますよ!?」
「は、はいぃっ!?」

慌てふためく啓太に夢は鋭く一喝。
啓太はその気迫に反射的に返事をするが、すぐにおかしいと考え直す。

「・・・ちょっと待て、夢。
 オレの怪人になったベンケイが、なんでオレを攻撃するんだ?
 何かの間違いじゃないのか?」
「そうでござるよ、夢殿!
 いくら拙者と言えど、主を傷つけるようなマネなど・・・!」
「オマエの手加減など当てにならんっ!
 ええいっ、近寄るなっ!しっしっ!!」

取り付く島もない夢たちの態度に次第に居場所を失っていくベンケイ。
どうやら彼女の怪人としての能力が問題に上がっているようだが・・・。
あそこまで行くともはやイジメの領域に近い。
さすがにいたたまれなくなった啓太が、助け舟を出そうとしたその時だった。

「申し訳ございません、作戦部の方々ッ!
 こちらに部長はお邪魔しておりま・・・ああッ、部長っ!?」

いきなり作戦部のドアが開くと同時に、中からフサフサのシッポが愛らしい、白と黒の動物型の怪人が姿を現した。
どうやらスカンクの怪人らしい。
それに気づいたベンケイは驚きの声を上げながら後ずさる。
さらにそれに反応した啓太たちが彼女と距離を取る。

「す、スカン・クラウド?な、なんで貴様がここにッ!?」
「それはこっちのですっ!
 啓太さまを待ちきれないからって、警備部抜け出すなんて何考えてんですかっ!?」
「ばっ、バカッ!?なななな、何を言い出すか、この大バカ者っ!?」
「それはこっちのセリフだと言ってるでしょう!?」
「まったく・・・上司が部下に迷惑かけるなんて・・・何を考えてらっしゃるの、ベンケイ?」
「!!」

スカン・クラウドとの会話に割って入ってきた謎の声に、ベンケイは迷わず背を向けて逃げ出そうと試みる・・・が。

「ムダですよ、ベンケイ。忘れましたか?
 私の能力からは逃げられないと言うことに・・・」

何者かの声が再び聞こえたかと思った瞬間・・・。
ベンケイは糸の切れた操り人形のように倒れ込んでしまった。
彼女は必死で抗おうともがいていたが、身体を震わせるばかりで指1本動かせないでいる。
皆が呆然とする中、怪人スカン・クラウドの隣から着物姿の金髪女性がするりと部屋に入ってきた。
着物越しからもわかる抜群のスタイル。
頭から生えるキツネの耳と後ろからのぞくキツネのシッポ。

「今回は職務放棄のオシオキを兼ねてキツめにしておきました。
 しばらくそこで反省していなさい」

彼女の名前は『ミラージュ・フォックス』。
警備部の副部長を務める怪人である――。

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