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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 144

「それとも私たちと実戦組手をやりたいか?
 私たちは一向に構わないぞ?」
『も、申し訳ございませんっ!すぐに始めますっ!?』

上司のシゴキがよほど恐ろしいのか、部下たちはあわてて訓練を再開する。
彼女らが訓練と称して行っているのは1対1の組み手。
啓太はそれを見ながらあることに気がついた。

「なぁ、ビースト。何でみんな組み手ばっかりやってんだ?
 それも怪人の能力使わねえで・・・。
 怪人専用のトレーニングマシンとかねえわけ?」

そう。作戦部の怪人たちがやっているのは組み手や腕立て伏せなどの自己鍛錬ばかりで、怪人らしいトレーニングをしているものは1人もいないのである。
おまけに組み手の連中も本性を出さず、人間形態のままで訓練している。
あまりにフツーな内容に、拍子抜けした啓太がビーストたちに尋ねる。
すると2人はそれぞれ、意味ありげな笑みと苦笑を浮かべながら質問に答えてくれた。

「ウチの連中は、ここの外じゃおいそれとは能力を使えないからな。
 ああやってできる限り能力に頼らない心構えを持たせてんのさ」
「本当はもっと彼女らに合った訓練をしたいところんですがね・・・。
 本来のトレーニングルームは前回の戦闘で使用不可能になってますので・・・」
「でも、こっちはこっちで大将も楽しんでもらえると思うぜ?
 怪人同士のガチンコなんざ、そうそう見れねえからよ!」

ビーストの自信ありげな発言に、啓太は疑わしげに怪人たちの組み手を見てみる。
すると・・・。

ガッ!ガッガガッ、ガッ!

飛び交う拳と蹴りの嵐。
時には受け止め、またあるときは受け流し。
かすった打撃が相手の頬を切り裂き鮮血が舞う。

「脇が甘いっ!そんなんじゃいつまで経っても外せないよっ!?」
「くぅああぁ・・・っ!」

こちらで展開されているのは関節技の訓練だ。
先生役らしい女の子が相手を締め上げながら指導をする。
苦悶に喘ぎながらも脱出しようとする相手の少女の顔は色っぽく、ノーマルなはずの啓太は新しい道に目覚めそうになった。

(すっ、すご・・・!な、なんて色っぽ・・・い、いやいや!
 何を考えてんだオレはッ!?
 痛みに悶える女の子を見て欲情するなんてっ!?)

啓太は邪念を振り払おうと必死に首を振る。
キレイな女の子は何しても美人というが、まさかここまですごいものだとは思ってもいなかったのだ。
そんな啓太の心中など知らないビーストとナイトメアはいぶかしがり、唯一それに感づいた夢は今度ミスをした怪人をオシオキしてもらおうかなどと、ろくでもないことを画策し始めていた。

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