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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 143


「・・・もうっ。ここにいる作戦部の活動内容は、主に外部からの資金・資材・人材・技術などの確保です。
 人間社会に害なす野良怪人や悪の組織の撃退、資金集めから資材の購入まで、さまざまなことをやらせる予定です」
「・・・おいおい。こないだ正義の味方と一戦やったばっかりなのに、そんなことして大丈夫なのかよ?」
「ご安心ください。こちらとしても彼らと戦う気はありません。
 鉢合わせのすることのないよう、細心の注意を払います」

夢はそう言うが、今のセリフには啓太に伝えていないことがたくさん隠されている。
野良怪人や悪の組織の撃退は本当の目的は、人間社会に戻せなくなった怪人の卵たちの確保や、そいつらの組織の持つ資金や資材の強奪だ。
正義の味方とやらないのも、現状では勝ち目がないからしないだけで、実力さえつけたらいつでも連中とケンカできるようにするつもりである。
夢としてはホントは啓太に真実を全て明かしたいところだが、元一般人である啓太が事実を知ったら烈火のごとく怒るのは目に見えている。
かと言って、現状のままでは組織の維持すらままならない。
そのため夢は全てを語らず、啓太にわかってもらうように少しずつ怪人側の世界に慣れてもらうやり方を選択したのだった。

(・・・ああ、お許しください、啓太さま。
 組織が軌道に乗ったら、いかなる罰でもお受けいたしますから・・・!)
もしバレて処罰されても、夢はそれでかまわないと思っていた。
たとえ自分がどうなっても、主人の啓太が望む世界を作るためなら自分がどうなってもかまわないと本気で思っているのだ。
主人のためなら死すら恐れぬ怪人根性。
ここまで来ると武士さながらの潔さを感じてしまう。
しかしそうとは知らない啓太は、ようやく自分の意思が伝わったのかと勘違いして、優しい笑顔を浮かべるばかりであった。
非情な部下の心情、知らぬは主人ばかりなり。

「そっか。夢のことだから、いつかは正義の味方も潰してご覧に入れますとか言い始めるんじゃないかと思ったけど安心したよ」
(・・・ギクッ!)

いや・・・全く知らない訳でもない、かな?
話が一段落ついたところで、ビーストとナイトメアが部下たちに喝を入れる。

「おらっ、おめえら!いつまで大将の顔見てやがんだ!?
 さっさと訓練を再開しろっ!」

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