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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 140

「・・・かしこまりました。
 それではまず、作戦部から見学に参りましょう」

こうしてただならぬ雰囲気の中、作戦部への見学が決定した。
風のウワサによると、この後ビーストは数日に渡って大量のデスクワークに忙殺されたとのことだが、その真偽は定かではない。

「・・・なぁ、ナイトメア」
「何でございますか?」

作戦部への道すがら、暇をもてあました啓太が夢に尋ねた。
ちなみに親衛隊室にいた幹部怪人たちはそれぞれの部署に戻って啓太が来るのを今か今かと待ちわびている。
またビーストみたいに、自分を売り込もうとするうるさいやからが出ることを夢が嫌ったからだ。

「何でおまえらって鈴たちみたいに名前に番号が入っていないの?」

それは彼女らの自己紹介のときから気になっていたことだった。
鈴や空のときは同じ種類の怪人ということで型番を名前にしていたのだが、ナイトメアたちにはお互いを怪人名で呼び合っている。
その質問に、ナイトメアはちょっとだけうれしそうな様子でこう答えた。

「それは簡単な理由です、啓太殿。
 我々には他に同じ種類の怪人がいないからです」
「同じ怪人がいない?」
「はい。私、ビースト、バルキリー、イブ。
 この4人は次世代の怪人として作り出されたプロトタイプなんですよ」

その言葉に啓太は何とも複雑そうな表情をする。
おそらく怪人として改造するしかなかった人間のことを気にしているのだろう。
そうするしかなかったとは言え、凶悪犯罪の代名詞たる怪人として生かすことに啓太は少なからず抵抗を感じていた。
少しでも生きていられるように、強い肉体を与えたのは啓太にできる精一杯のことだった。
難しい表情をする啓太に、夢たち一行は苦笑するしかない。
この優しさは好ましいところであるが、同時に悩みの種でもある。
優しすぎるゆえに、必要以上に背負い込んでしまうからだ。
確かにまともな人生を送れなくなったとは言え、新たな人生を与えてくれたのだから、怪人たちは感謝こそすれ恨みなどしていないというのに・・・。

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