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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 139


涙をほろりと流しながら男の怪人の幸せを願う啓太のそばで、夢は内心ほくそ笑む。
実は夢が男の怪人を外に追い出したのは啓太が男色に目覚めることを避けるためだ。
要するに自分たちが捨てられる前に先手を打ったのだが。
そうとは知らない啓太は、夢の独断を褒め称え、あまつさえ男の怪人たちの幸福を祈っている始末である。
腹黒キャラ夢ここにあり、である。

「さ、啓太さま。
 男の怪人たちの話はこれくらいにして、そろそろ新組織の見学を再会しましょう。
 みな自分の部署を自慢したくてうずうずしておりますよ?」

夢に言われてまわりを見てみれば、興奮を隠せないご様子の女幹部たちがギラギラした目で啓太を見ている。
今にも取って食われそうで何か怖い。
Noと言った時点で殺されるかもしれない。

「そ、そうだね。つ、次はどこに行くのかな?」
「そうですね・・・まずは」
「ちょっと待ったぁッ!!」

次の案内場所を思案していた夢に、ビーストがいきなり話に割って入ってきた。
突然の乱入にナイトメアがあわてて彼女を止めに入るが、ビーストはものともせずに啓太に詰め寄る。

「こ、こらっ、ビースト!」
「大将、大将!まだ決まってないんだったら、ウチ!
 ウチの作戦部に来てくれよ!この組織の花形!
 選び抜かれたオレの精鋭たちが、大将が来んのを楽しみにしてんだよ!!
 なっ!?なっ!?いいだろっ!?」
「ば、バカ、ビーストっ!落ち着け!
 啓太殿の御前でなんて無礼を働いているかっ!?」
「いいじゃねえかよ、ちょっとくらい。
 ナイトメアだってオレたちの自慢の部署を大将に見てもらいたいだろ?」
「う・・・。それは・・・そうだが・・・」

自分の部署を自慢したがっているビーストの気持ちがわかるだけに、ナイトメアは言葉に詰まってしまう。
そのスキを突いて、ビーストはすばやく啓太にアピールする。
それを見た啓太は思う。

(・・・ビーストって度胸あるよな)

・・・と。周囲では幹部怪人たちが嫉妬と怒りに燃えているというのに、本人はそんなことなど全く気にしちゃいない。
上司である夢が不機嫌オーラを出していることにさえ気づかない様子だ。
「なっ?ナイトメアもまんざらじゃなさそうだし、まずはこっちから見てってくれよ!?」
「あ、ああ・・・いいけど」

ビーストの押しに負けてOKを出すと、ビーストとナイトメアは歓喜を浮かべ、ギャラリーは不満と嫉妬のドス黒いオーラを漂わせた。
天国と地獄の光景をいっぺんに目の当たりにした啓太はあわててフォローを入れる。

「ゆ、夢っ!わ、悪いけどビーストの部署の次からどこに行くのか決めといてもらえる?
 オレ、この施設のことよく知らないから他にどんな部署があるか知らないからさっ!?」

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