世界の中心で平和を叫ぶ。 123
「主殿、失礼いたします」
「啓太さま、お加減はいかがですか?」
入ってきたのはエルカイザーの魔手から救ってくれた6人の怪人たちであった。
これにあわてたのが啓太だ。
何しろ夢からは自分専用の風呂場と聞いていたのだ。
まさかこの間助けたお礼目的で近づいてきたのかと、啓太は湯船の反対側へと移動する。
その慌てふためく啓太に、鈴たちはクスクス笑う。
「ご安心ください、啓太さま。私どもは啓太さまの忠実な下僕。
啓太さまが望まれない限り、私たちからは何もしません」
そう言いながら彼女たちは風呂のすぐそばに座って待機する。
最初は湯煙でよく見えなかったが、全員がバスタオルやら水着やら肌襦袢やら、湯浴み着を着ている。
啓太は一瞬ホッとしかけたが、あるものに気づいて再び警戒態勢を取る。
それは湯浴み着の生地の薄さと、濡れて透けている乳首の勃起具合である。
あの出っ張り具合から見て、連中はかなり発情している。
きっと仕事で離れられない夢が護衛ついでにお背中流して来いとかよけいなことでも口走ったんだろう。
彼女らとHしておいて恥ずかしいってのも変かもしれないが、それはそれ、これはこれだ。
今はゆっくり風呂に使っていたい。
「啓太さま。術後のお体の具合はいかがでございますか?」
「あ、ああ。大丈夫だよ。
ただまだ改造したてだからうまく機能を扱えないんだよね。
防御力メインに改造したとは言っても、いろいろ弱点もあるからね」
啓太に施された改造の弱点。
それは大幅に引き上げられた防御力そのものにある。
機能発動中、啓太の皮膚はあらゆる攻撃を防ぐ。
しかしその間は身体が硬くなりすぎて動けなくなるのだ。
それだけではない。
機能使用中は五感が全てシャットアウトされてしまうし、無敵と思い込んで毒や放射能などを大量に浴び続けていれば身体にも影響が出てくる。
それらの弱点は今後の調整で少しずつ解決していくとの事だが・・・。
それまでこの能力はうかつに使わないほうが身のためだろう。
「さようでございますか。
もし身体がうずくようでしたらいつでもお声をかけてくだされ。
すぐにマッサージをいたします」
「その時はよろしく頼むよ。えーっと・・・」
啓太は返事をした黒髪ポニーの名前を呼ぼうとするが、なかなか名前を思い出せない。
「クルセイダー。ナイトメア・クルセイダーと申します」
「あ、ああ!そんな名前だったね。ゴメン」
「いえ、怪人として名前でありますゆえ、仕方ありませぬ。
もし不便でありましたら、お好きなようにお呼びください」