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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 120

慎重に、空がエルカイザーに近づく。
かがみ込んでエルカイザーの様子を見ていた。
そのエルカイザーはすでに息をしていなかった。
顔面もろとも延髄や脳幹といった、生命維持に欠かせない箇所まで圧壊させられて即死していたのだ。

「即死したようです。」
「ハッ!この程度で即死なんて、正義の味方としちゃ三流だな!」
赤毛美人−ウルティマ・ビーストが言い放った。
それを聞いていた啓太は、言った。
「もう・・・・後戻りはできないんだな。」
それに答えて、黒髪ポニー・・・ナイトメア・クルセイダーが冷静な声で告げた。
「残念ながら、こうして怪人と見ると命を奪いに来る正義を名乗る連中はあちこちにいます。どうか、我々の上に立ち、このような連中を撃砕するために、私たちが生き延びるためにも、戻ってご采配ください。」
啓太にはそれが、神の託宣か何かのように心に響いていた。
「行きましょう啓太様。このままでは正義を名乗る連中がいくらでも寄ってきます。」
そのときには、エルカイザーは自身が生み出した闇の空間もろとも消失し、辺りはもとの学食に戻っていた。
「・・・・わかった。」
 
こうして、啓太は組織に、夢たちのもとに戻ることにしたのだった。
 
戻った啓太に、夢は過剰なまでに感激して出迎えた。
「啓太様、おかえりなさいませっ!」
夢と、周りにいた怪人たちが声をそろえて挨拶した。
「心配かけて・・ごめん。僕も覚悟を決めたよ。そこで相談なんだけど、僕も強くなりたいんだ。」
「強くなりたいと仰せでしたら、実はよい設計図を見つけてあります。」
「設計図?」
「はい。耐放射能防護、装甲防御、熱線、冷凍線、毒物、化学兵器、自己再生等、考えられるありとあらゆる攻撃を受けても死なない・・・寿命以外の原因では死なない体にする人間改造用の設計図が残っていました。ただ・・・・。」
「何か問題があるの?」
「徹底的に生残性、耐久性を重視した結果、攻撃力と機動力はせいぜい並の怪人程度にしかならないんです。」
そこで一人の怪人が口を挟んだ。
「攻撃は我々が行えばよく、機動力は指揮車両なり何なりに乗ることで解決すればよろしいかと。」
続けて夢が言う。
「あと・・・・申し訳ないのですが、この設計図どおりの改造をレフトファンが行っていた形跡が無いんです。我々が襲わなければいずれ行ったのでしょうけれど。それでもよろしいでしょうか?」
 
数秒の黙考ののち、啓太は答えた。
「・・・・・そうだな。改造を頼む。」
「では、こちらの部屋へお願いします。」
夢の案内で、啓太やほかの怪人たちは別室へ入った。

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