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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 119


ガキィンッ!

次の瞬間、黒髪ポニーはいきなりエルカイザーの目の前に現れ、右手に持った『何か』を振り下ろしていた。
見れば彼女の右手にはいつの間にか白い長剣が握られ・・・いや、違う!?
彼女の右手に握られているもの。それは彼女の左手首そのものだった。
手首から先には奇妙な形をした白い刃がむき出しになっている。

「て・・・テメエ、ナイトメア・クルセイダーッ!
 何をオレを差し置いて抜け駆けしてやがるーッ!?」
「すまんな、ウルティマ・ビースト。
 啓太さまを守る最初の手柄は私がもらう・・・!」
「はっ、怪人風情が大きく出たもんだな!?
 この程度の不意打ちでオレをやれるとでも・・・!?」
「思っちゃいないさ」

エルカイザーの言葉をさえぎり、手首を失った左手をエルカイザーの顔面に突きつける。
瞬間、彼の息を飲む声がしたかと思うと・・・!

ボボボボボボボボボッ!!

エルカイザーは派手に吹っ飛んでいた。
何が起きたか理解できない啓太に鈴が優しく説明してくれた。

「左手に取り込んだ空気を圧縮して正義の味方を撃ち抜いたんです」
「う、撃ち抜っ・・・!?」
「彼女の怪人名は『ナイトメア・クルセイダー』。
 啓太さまに害なすモノに消えない悪夢を刻み込む、武器内蔵型の護衛怪人です――!」

鈴の言葉に呼応するかのように、吹き飛んだエルカイザーにさらなる追い討ちをかけようとナイトメア・クルセイダーが突っ込む。
啓太はあわててそれを止めようとするが間に合わない。
殺った――!?
啓太の脳裏に最悪の展開がよぎる。
しかし啓太の予想は幸か不幸か、回避される。
至近距離で顔面を撃ち抜かれたエルカイザーが、ナイトメア・クルセイダー(以下黒髪ポニー)の足を狙って鋭い足払いを仕かけたのだ。
黒髪ポニーはすばやくジャンプして蹴りをかわす。
しかしそれこそが彼の真の狙いだった。

「バカがッ!」

エルカイザーは蹴りの勢いを利用して地面を回転、黒い長剣が数瞬遅れで黒髪ポニーに襲いかかる!
斬られる――!?
そう思った瞬間、あの赤毛美人がゴリラのように膨らんだ右手でエルカイザーの顔面を叩き潰していた。
床を陥没させるほどの一撃に、黒髪ポニーを襲おうとしていた黒い刃は、彼女の位置とは見当違いの場所を通り過ぎて行った。
これがわずか1分足らずのうちに行われた攻防の全てである。
啓太の予想をはるかに超えたハイレベルな攻防戦に、啓太はもはや声も出ない。

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