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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 117


「な、何!?何なの、これ!?」

そうとは知らない啓太は突如発生した不思議空間に大いに驚く。
まるでセピア色の写真の中に閉じ込められたような、色あせた空間の中で動いているのは啓太と彼に従う怪人6人のみ。
現状を飲み込めない啓太をよそに、赤毛美人はすばやく紫ロングの少女に指示を出す。

「『オートバルキリー!』」
「了解!スキャン開始・・・。・・・ッ!!
 半径10メートル以内に私たち以外の生命反応を感知!」
「数は!?」
「1つ!食堂入り口より侵入してくる模様です!」

間もなくして、食堂入り口のドアから真っ黒い人影が姿を現す。
右手に何やら黒光りする長いもの持っている。
黒い人影はそれをドアの前で無造作に振り上げると、

ズバァンッ!

食堂のドアを一刀両断した。
煙がもうもうと立ち込める中、中から出てきたのは全身を黒で多い尽くした仮面の剣士であった。
タイトな鎧と無骨な仮面を身にまとい、黒光りする長刀を持つその姿は美しく、そして途方もなく怖かった。
まるで現代に現れた死神のようだ。

「あれは・・・!?今、世間で売り出し中の正義の味方、斬魔剣聖『エルカイザー』!?
 なんでこんなところに!?」
「正義の味方ぁ!?」

紫ロングの発言に啓太たちは色めき立つ。
世界の平和を守るはずの存在、それも名前売り出し中の正義の味方のご登場に、啓太の混乱は深まるばかりだ。

「・・・オレのことをご存知だとはな。
 乱宮啓太。やはり怪人たち悪の組織とつながっていたか・・・」

その言葉に啓太たち一同は思わず身を硬くする。
この正義の味方はこともあろうに、啓太を悪の組織の手先か何かと勘違いしているようだ。
確かに彼女らは怪人だが、鈴と空以外は初対面だし、悪さをするつもりなんてこれっぽっちもないのに!
啓太はあわてて誤解を解こうとするが、それより先に怪人たちが正義の味方の前に立ちふさがる。

「・・・おい。今、何つった?
 ウチの大将を悪の組織の・・・それも使いっ走りみてーに言ったように聞こえたんだがな?」
「・・・落ち着け、ウルティマ・ビースト。
 エルカイザー・・・殿だったかな?連れが大変失礼した。
 拙者、ナイトメア・クルセイダーと申す」

怒りを隠そうともしない赤毛美女を黒髪ポニーが制する。
怪人名を堂々と発表するのもどうかと思うが、とにかく誤解を解こうとしてくれているようだ。

「いろいろとお騒がせして申し訳ない。
 今回は我々の主である啓太さまの護衛のため、こうして集まったしだい。
 啓太さまも我々も悪事を働く気はなく、できれば見逃していただけると助かるのだが・・・。
 返答は如何に?」

やたら古めかしい言い方をしながら黒髪ポニーは事情を簡単に説明、理解を求めた。
それに対し、エルカイザーは・・・。

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