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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 111


(待っていてください、啓太さま!
 夢はすぐにこんな仕事を終わらせて、あなた様の下に参ります・・・!)

啓太が死にそうな目にあっているその裏で、啓太争奪戦というこれまた厄介なことが行われていることなど、当の本人は知る由もなかった。

――――――――――――

そして舞台は再び啓太のいる大学の食堂に戻る。
周囲は警察官と啓太を興味深そうに見ている。
あまり目立つのが好きではない啓太としては、針のムシロ状態だった。

「・・・と。何やら急に騒がしくなってきましたな。
 ちょっと話の場所を変えましょうか?」
「・・・ッ」

中年の警察官の言葉に、啓太は思わず反応する。
今、啓太の頭の中ではいかにこの事態を乗り切るかを考えている真っ最中だった。

(ど、どうする!?
 た、確か任意の事情聴取ってヤツだよな?
 こ、ここで断ったら確実に印象悪くなっちゃうよな!
 で、でもうっかり夢たちのことしゃべったりしたら・・・!)

「・・・どうかしましたか?ずいぶんと顔色が悪いようですが・・・」
「ッ!!い・・・いえ、何でもありません!
 それより聞きたいことがあるんでしょう?
 さっさとすませてもらえませんか?
 1週間以上も休んでたんで、単位ヤバいんですよ!」

驚いた啓太はごまかそうと、必死になって言い訳する。
しかし言った直後で啓太は心の中で『しまったーッ!?』と大声を張り上げていた。
無理もあるまい。
すねに傷持つ啓太としては、警察となんか係わり合いになりたくないのだ。
それをOKするような言い方をしたのは取り返しのつかないミスと言えよう。
・・・まあ、次の授業に出ないといけないと時間設定を決めたのは不幸中の幸いだったが。
冷や汗ダラダラの状況下で永遠とも思える短い沈黙をおいて中年警官は柔和な笑みを浮かべて口を開いた。

「おや、それは失礼しました。
 では機会を改めてご自宅のほうにお伺いさせていただきますが、よろしいですね?」
「・・・先輩!?正気ですか!?相手は・・・!」
「黙ってろ、黒河!」

若い警官が口を挟もうとするも、中年警官の一声で彼のみならず、食堂全体が静まり返る。
まるで刑事ドラマのワンシーンのような光景に、啓太も動くことができない。
しかし次の瞬間、中年警官はあの人懐っこそうな笑顔に戻って頭を下げる。

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