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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 110

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話は啓太が警察に見つかる10分前にさかのぼる。
今、夢の目の前には6人の女性が集まっていた。
うち2人は鈴と空。
ここにいるということは他の4人も怪人なのだろう。
外見を見る限りではとてもそうは見えないが。

「・・・本当なんですか?その・・・啓太さまが失踪したって言うのは」
「残念だが事実だ。
 啓太さまは護衛に待機を命令させて、そのままここから立ち去ったらしい」

鈴の問いに努めて冷静に答える夢。
その答えに集められた怪人たちに改めて動揺が走る。

「た、大変じゃないですか!?は、早く啓太さまをお戻ししないと!」
「落ち着け、空。
 私としてもそうしたいが、啓太さまは素直に戻ってくるとは思えん」
「でもだからって――!!」
「そこでお前らには啓太さまの捜索、及び護衛を命令する」
「え・・・?」
「本来ならこんな事態を引き起こした私で片付けたいところだが・・・。
 今、ここを離れては組織がメチャクチャになる」

そう言って振り向く夢の視線の先には山積みとなった書類の束。
これには鈴たちも苦笑いを浮かべるしかない。

「・・・私が動きが取れるようになるまで、お前たちには啓太さまの身の安全を守ってほしいのだ」
「ほ、ホントによろしいんですか?」

夢の言葉に、着物姿の女性がおずおずと尋ねる。
他の女怪人たちもその目をキラキラと輝かせている。
当然だ。自分たちの存在意義を揺るがすピンチが一転、自分たちの存在を好きなだけアピールできるのだ。
うまくいけば啓太に気に入られて365日24時間ずっとかわいがられる、なんてことも夢ではない。
何せ自分たちは主人である啓太を守る精鋭。
選ばれた存在なのだから。
これに焦りを感じたのが鈴と空だ。
実質上のライバル出現に、2人は焦りを感じずにはいられなかった。
もちろん夢も啓太に1番かわいがられている(と思い込んでいる)今のポジションを奪われるつもりはない。
ちゃんとそれなりの釘を刺してきた。

「行動は万一のことを考え、2人1組で行動しろ。
 また、組織によけいな混乱を入れたくないからこのことはここにいるメンバーだけの極秘事項とする。
 くれぐれも目先の欲に駆られて単独行動を行わないように!」
「「「「「「ハイッ!!!!」」」」」」

6人は元気よく返事をすると、すぐさまきびすを返して部屋から退出していった。
それを見送った夢は、端末を使って部下を呼び出し、再び仕事に戻っていった。
もちろん、部下を信頼している、などというたわけた理由からではない。
早く仕事を終わらせて、部下の覚えがめでたくなる前にオイシイところを全部かっさらうためである。

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