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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 108

だが啓太は知らない。
この時・・・いや自宅に戻ってから自分について回る不審な影の存在を。

――――――――――――

その頃の夢たちはと言うと。

「なっ・・・何だとぉぉぉッ!?」

ようやく啓太失踪を知った夢が驚愕の叫びをあげていた。

「おっ、おまっ、おまえら・・・いったい何してくれとんじゃあぁぁぁーッ!?
 ああ、やはりここしばらくお会いに行けなかったのが・・・?
 いやそれ以前に娯楽用にとご用意した怪人たちが置きに召さなかったのか・・・!?」

夢の今まで見せたことのないあわてぶりに、周囲の怪人たちは呆気に取られる。
彼らの中の夢とは冷静沈着、戦闘もデスクワークも何でもこなせる『できる人』というイメージだったから。
しかしいつまでもこうしてはいれない。

「ゆ、夢さま。落ち着いてください。
 今は一刻も早く啓太さまをお探ししないと・・・!」
「はっ!?そ、そうだった!
 い、急いで全軍を召集しろ!使える怪人全員で啓太さまを――!!」
「お、落ち着いてください、夢さま!
 そ、そんな大規模な作戦展開したらあっという間に正義の味方に潰されてしまいます!!」
「正義の味方がなんぼのもんじゃーっ!!」

・・・メチャクチャである。
彼女が正気を取り戻すまではもうしばらく時間がかりそうなので、再び啓太にカメラを戻そう。

――――――――――――

学食ではまだ授業中ということもあり、利用客はあまりいない。
研究中の4年生やサボり組の一部の生徒が遅めの朝食を食べていた。
啓太は近くの自販機でジュースを買うと、適当な席に座りながらテレビを見始めた。
テレビではちょうどニュースが始まったところらしく、政治家の汚職事件などを取り上げている。

(・・・つまんねえ)

ニュースを見ながら、啓太はふとそんなことを思う。
一歩間違えれば死ぬかもしれないような目にあったからだろうか。
政治や殺人事件などのニュースを見ても啓太の心に感じるものはまるでなかった。
むしろよくこんなつまらないことで騒げるものだと感心する。
こんなこと、夢たちと暮らしていた頃に比べれば――。

「・・・!!い、いかんいかん!
 オレはただの一般人なんだから・・・!」

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