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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 106


・・・何やら物騒な言葉があったが、このように夢は新組織の土台作りに連日連夜仕事に追われている。
そのせいか、少々機嫌が悪いらしく、ちょっとしたミスや問題を起こすと八つ当たり気味の説教や折檻を飛ばすようになった。
今では部下たちから鬼司令官としての地位を築きつつある。

(ああ・・・啓太さま、申し訳ございません!
 この仕事が済んだらすぐに参ります・・・!
 不出来な私をどうかお許しください・・・!)
「夢さま、この書類にもハンコお願いしまーす!」
「ちょっとは休ませろや、この無能!」

あまりの仕事量に夢がブチ切れたところで、今度は空のほうを見てみよう。
彼女がいるのは医療エリア(仮)。
本来のエリアは『生命の泉』に浸かっているので、急遽用意されたエリアで、空は働いていた。
ここでの彼女の仕事は主に治療薬やケガ人の運搬だ。
あの戦闘で死人こそ出なかったものの、『生命の泉』で受けたダメージは思いのほかに大きく、そこは野戦病院差ながらの様相を呈していた。

「お〜い、空さま!こっちに包帯持って来てくれ!」
「は〜い!」
「空さま、コイツの右足切り落とすからちょっと押さえててください!
 バカ力で暴れやがって、手がつけられません!」
「はいっ!今行きます!」

本来、非戦闘員である空は様づけされるような立場にはない。
しかし周囲の怪人たちより先に啓太の所有物になったということで、連中からは様づけされて呼ばれている。
ちなみに母の鈴はここにはいない。
彼女はやりたいことがあるということで別行動を取っている。
それが何なのかはまた後日にお話しよう。

(啓太さま、見ててください!
 空は啓太さまのお役に立てるよう、がんばります!)

どうやらこちらもこちらで悩みの種はあるようで。
しかしそんな主の役に立とうとする行動が、逆に啓太を苦しめていたことなどまるで気づいていない。
おそらくあの時泣きながら言ったあの言葉が、啓太の心をどれだけ深く傷つけたかなど思いもしていないのだろう。

それぞれが啓太を思うがゆえに、啓太の元から離れてがんばる。
それが啓太本人を追い詰めていたことなど知らず。
そしてその頃、肝心の主人公はというと。
懐かしの我が家のあるマンション入り口で、ある物思いにふけっていた。

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