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世界の中心で平和を叫ぶ。
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。 105


(・・・そうだよ、どうせここにいてもオレは邪魔なだけだ。
 それならいっそ、ここからいなくなったって・・・)

それはとてもすばらしい考えに見えた。
自分の居場所を見失ったこのバカな男は、そう決めるとあの家に帰るべく無意味に豪華な玉座から立ち上がった。
しかしそんな啓太の心など知らない護衛たちは急に立ち上がった主に声をかける。

「啓太さま、いかがなされましたか?」
「・・・ん、ちょっと便所」
「左様でしたか。それではお供いたします」
「いいって、いいって。もうここには敵はいないんだ。
 1人で行ってくるよ」
「なりません。この基地がどれだけ広いとお思いですか」
「大丈夫だって。道わかんなくなったらその辺の連中に聞くから。
 それともオレの命令が聞けないって言うの?」
「う・・・。も、申し訳ございません」

命令と言われては、彼女ら怪人に逆らう術はない。
啓太は悠々と『新首領の間』から出て行った。
もちろん向かった先はトイレなどではない。
向かった先は侵入のときに使ったあの抜け穴。
これは別に正門から出たらバレるからという理由からではない。
そこ以外から家に帰る方法を知らないだけだ。
幸い、現在は『生命の泉』の処理や施設の復旧で忙しい。
抜け穴をふさいでいる暇などないだろうと予想した啓太は、その辺の怪人・戦闘員から道を聞きながら抜け穴へと進んでいった。
計画は思った以上にうまくいった。
うまく行き過ぎて、逆に啓太が自分の行動を夢の策略ではないのかと疑ったほどだ。
もちろんそんなことはない。
施設に駐屯する怪人たちはそれぞれ仕事に追われて忙しいし、主のDNAを取り込んだ彼らに、啓太に逆らおう何て発想自体がない。
・・・ちなみにその頃、夢たちが何をしていたかというと・・・。

「夢さま!この書類にハンコお願いします!」
「今、手が離せないから机の上に置いておけ!」

ドサドサッ!

夢の机の上に何山目かの書類の束が上澄みされる。
「夢さま!パトロール隊H班から隔壁から『生命の泉』がもれているとの連絡が!」
「技術班を大至急対応させろ!付近の部下たちの避難も忘れるな!」
「夢さま!例の計画進行度90%達成しました!」
「今忙しいんだから、終わってから言いに来い!」
「夢さま!首領さまのご寵愛をいただいていない怪人たちが、不満から抗議活動を!」
「ブチのめして黙らせろ」

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