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エリアアルファの騒動
官能リレー小説 - SF

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エリアアルファの騒動 3

「中身については聞かされてないが、相当重要なものであることは間違いないかと。この見た目に反してかなり重いから、注意してくれよ」
「そうか…よし、お前ら手伝え!」
男の声に従って、後ろの連中が動き出す。
まずは2人の男が左右から箱を持ち上げようとするが、予想外の重さだったのかふらついている。
一旦置きなおすと、次は4人で角を抱えてどうにか運び出していた。 
「絶対に落とすんじゃねえぞ!腕の1本は覚悟しとけよ!」
スキンヘッドの男のほぼ脅迫でしかない指示に、屈強そうな男達は緊張しつつ慎重に従った。
俺としても巻き込まれちゃたまらない。さっさと離れるためにドランカクに視線を送ると、苦笑を浮かべて頷いてくれた。
「それじゃあ確かに渡したぜ?」
「おう、いつも通りに振り込んでおく」
男達がバイオロイドの檻やアンドロイドのコンテナを運んでいくのを横目に、俺達は足早にその場を離れた。

「よう!何事もなくて助かったな。また一緒になったら頼りにしてるぞ!」
「今度は分かりやすい荒事だといいんだがな。あばよ…」
豪快に笑いながら俺の背中を叩くドランカクに手を振り、妙な仕事に疲れた俺は自分を労うために足を向けた。
荒れた街並みを抜けてエレベーターホールまで戻ると、周囲に自然と残った歓楽街へと歩いていく。
ロクデナシ達の吹き溜まりと化したエリアアルファだが、だからこその秩序ってもんが存在している。
表を歩けない奴らでも腹は減るし酒も飲めば女も抱きたい。
自然と中立地帯となったこの歓楽街は俺のような存在にちょうどいいのだ。
いきつけの店に酒と女を買いに入れば、顔馴染みの兄ちゃんが席に案内してくれる。
俺はソファーに座って一息つくと店員に声をかけた。
「すまん。…C級酒をオススメでとりあえず1本、味の濃いツマミを適当にたのむ。あとフリーで獣と機械をつけてくれ」
「注文ありがとうございます。準備できたら一緒に持ってきますね」
ソファーに深く座り直しため息を漏らす。
あんな仕事のあとなんで、質より量で両方楽しみたくなったのだ。
柑橘の風味がする水で口を濡らしていると、お盆を持った艶かしい女が2人左右に腰かけてくる。
「カナコです!今日は楽しんでいってくださいね?」
「私はI-2です。よろしくお願いいたしますね…」
テーブルに並べられたのは、南国の薬草カクテルに鳥を炙ったの。それに漬物の盛り合わせか…
疲れきってる時にはなかなかたまらない組み合わせじゃないか。女の胸を肩ごしに揉みつつ俺は涎を飲みこんだ。
「いいねぇ…。俺はこういうのを求めてここに来てるんだよ」
「嬉しいこと言ってくれますね。サービスしちゃおうかな」
「私も頑張りますね…」
俺は上機嫌になりながらグラスを傾け、舌鼓を打つ。
やはり労働の後はこれに限る。こんな風に美味いものを飲んで、いい気分になれるのだから。
そうしてしばらくすると、別の客がやってきたようだ。
そちらに目を向けてみると、見覚えのある顔が目に入った。

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