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エリアアルファの騒動
官能リレー小説 - SF

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エリアアルファの騒動 1

2100年ともなると、様々な技術が進歩した。
例えば、俺達がいるこの空間もそうだ。ここは、地上から遠く離れた場所にある宇宙エレベーターによって繋げられた人工的な空間だ。
俺達はその宇宙エレベーターに乗っているわけだが、これは俺達が今から向かう場所への交通手段である。
エリアアルファ――人類最初の衛星軌道都市であり、今となっては打ち捨てられ後ろ暗い連中が好き勝手にのさばってる夢のあとだ。
そんな場所に何故向かっているのかといえば、荷物の運搬を任されたからにすぎない。
俺達の後ろに並べられた檻やコンテナに入れられているのは、獣の因子を交ぜられたバイオロイドや生体部品を組み込まれたアンドロイドたち。
人類の進歩した技術によって産み出された、格安でお手軽な美少女娼婦だ。

金を出すような連中が好むのは自分達に関係深い技術。若さや健康に関する医療や生命工学の分野だ。
そうして人体の神秘が解明され生物の情報が紐解かれていくと、どうにかそれで儲けたい奴らが現れてくる。
そこで思いついたのが本能に根ざす風俗産業への応用だ。
従来の女達は容姿がピンキリなのに管理が面倒臭い。生まれ育つのに時間はかかるし、教育したところで便利に扱えるとは限らない。
だったらどうするか。容姿に優れた女から遺伝情報と容姿デザインを買い取り、クローニングやら遺伝子改造やらで理想の娼婦を造ったのだ。
材料さえ用意すれば、短期間で可愛らしく素直で従順な男に奉仕するための存在が出荷出来る。
こうして生まれたものが、俺達の背後に並ぶ彼女たちという訳だ。
「いやあ、しかしお前さんには感謝してるよ」
俺の隣に立つ男が言う。深緑色の髪を短く刈り上げた、浅黒い肌の大柄な男だ。
彼は俺と同じ輸送屋だ。名前は確か…そう、ドランカクとか言ったか?
「俺はあんまりこういう仕事得意じゃないんだよなぁ…」
俺は溜息をつくように答える。正直、この手の作業は苦手なのだ。
俺の能力は戦闘に特化している。だからこそ護衛任務などを任されやすいのだが、今回のような雑用を任されることもある。
「はっは!まあまあ、そう言うなって!」
ドランカクは豪快に笑いながら俺の肩に手を置く。
そして、耳元に顔を寄せて囁いた。
「…実はな、今回運ぶ予定の商品の中にちょいと毛色が違うのがあってな?」
「違うもの?」
「ああ。厳重に梱包されているから中身までは分からんかったんだが、バイオロイドじゃないのは確かだ。箱が妙に頑丈だし、何より箱が小さすぎる。ありゃあ、きっと何かヤバいもんだろうな」

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