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太陽の嘆き
官能リレー小説 - SF

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太陽の嘆き 6

「おい、金貨が消えたぞ!」
「貴重な飯の種だぞ!どうしてくれる!」
「そうだな、腹が減った」
海賊は口々に不平を口にする。
「おい、あんたが一番年上だろ?食い物はどこだ?出せよ!お前たちの体の代金以上の金貨を持っていっただろ」
ペドロが代表して、女達の中で一際色気と貫禄がある青黒い長髪を持つ一人にカトラスを向けて言った。
「キナサイ」
「なさいって、命令口調かよ!」
彼はそう言いながらも美女についていく。船長たちにも、焦げ茶色の妖艶な美女たちが科を作って腕組んできたので、悪くない表情で歩き始める。
「なあ、あんたたちって邪神教団だろ?」
「俺も聞いたことがある。山で魔女の婆さんが言ってた」
「確かに陸の上ではたちまち裁判で火炙りだけど、ここまでは追ってこない」
海賊たちは女達への違和感から、ある種の仮説を立てる。
三人が口々にそう言うと、女達は立ち止まる。
ペドロは青黒い長髪の美女に対して言う。
「俺たちは海賊だ!異教だ異端くらいで、ビビると思ってるのか?!」
「そんな事、どうでもいいじゃない。私達、半魚人より普通の男のほうがいいの」
「なんだ、面食いかよ」
海賊達はなんとなく冷めてきていた。
せっかく見つけた金貨を全て失っただけでなく、目の前の美女も明らかに何かがおかしい。甘美な時間が終わってしまえば、後には不安感と違和感しか残らなかった。
船長のカルロスは、この事態に頭を働かせる。
(このままじゃマズい。こいつは何かある。だが、俺達の船が失われた今どうやってこの海底施設から逃げ出すか…)
カルロスはペドロ達に目配せをする。
すると、彼らは彼の意図を理解したようでうなずく。
カルロスが質問をする。
「なあ、あんたら本当に何者なんだ?」
「別に何でもないわ。ただの男好きの女達よ」
「こんな海底に居るような女、普通とは思えないがな」
「まあね」
「それで、俺は仲間を連れて地上に戻りたいんだ。ここから出る方法を知らないか?」
「知らないわ」
「それなら、ここで別れようぜ」
「あら、冷たいのね」
「当たり前だろう。お前らが何か企んでるのはわかるし、俺は邪神なんて信じちゃいない」
「ふーん…」
カルロスの言葉に、青黒い髪の美女は軽く呆れたような表情をする。そして、彼女はペドロに話しかける。
「ねえ、あなたはどう思う?」
「えっ!?」
「あなたの意見を聞きたいんだけど?」
「ああ…。俺も邪神なんか信じんさ。だから、お前達とは行動する気にはなれないな。考えが根本的に違う」
ペドロは彼女に答えながら、周囲の女たちを見る。
全員美人でスタイルも良いのだが、やはりどこか異常性を感じる。
ペドロとしては、ここに留まるのは危険だと判断していた。
カルロスはペドロが自分と同じ考えで安心をした。内心、彼等が怪しげな女の色気に惑わされて寝返るのではないかと危惧していたのだ。
しかし、その心配はなさそうだ。

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