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太陽の嘆き
官能リレー小説 - SF

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太陽の嘆き 4

そんな有様で、まともな操船が行えるはずもなく、突如船体に大きな衝撃と振動が走る。暗礁に座礁でもしたのかと、更にパニックが広がる。
しかし、中には少しは正常な判断もできる男が残っており、浸水している可能性がある船底へと急ぐ。すると、暗礁などでなく巨大なパイプの先端が突き破っていた。その先に海面にあったと思われる上位構造物は既に朽ちていたので、その途中にあった非常用の通路だけが残った格好となっていた。
既に船内に浸水が始まっていたが、人の背丈より太いパイプの先端の蓋には頑丈な扉があった。彼等は海賊なので、それを見逃すはずがない。
すぐにその水密扉を開け、彼等は未知の領域へと足を踏み入れる。
 
焦る感情のままに落ちるようにして梯子を滑り下りると、湿った床板へとたどり着いた。
足裏から伝わる重々しく冷々とした気配に背筋が凍るような気がし、自慢の巨根も頭を垂れてしまう。
軋む床板の音を聞きながら奥へと進むと、海賊たちの耳にネットリとこびりつくような甘く官能的な歌声が届いてきた。
高く低く波打つようなメロディーに、寒ざむしいゆっくりとした短調のリズム。水底へと誘い込むようなその歌に招かれて男たちは廊下の奥へと入り込んでゆく。
周囲の壁面に走る錆色のパイプと、それらを支える深い黒で目地を埋められた板張りの壁。
じっとりと肌を濡らす湿気がこもっているが、海水自体は染み入ること無く通路の形を保っている。
明らかに現在の技術レベルでは不可能な構造だった。
海賊達にはただの板に見える壁も木材に似せて作った別の物だ。
素っ裸の彼等は何も手にしていなかったが、最後に避難した船長のカルロスだけは冷静だった。彼は船が完全に沈む前に金貨の入った樽等をいくつか出入り口脇のスペースに移動させてから扉を閉めたのだ。
なのでカルロスだけは数枚の金貨が入った小袋を腰に巻き付けている。
一味の中で一番若いペドロはカトラスを手に辺りを見回す。別に使い手というわけでなく、浸水のゴタゴタの時にたまたま持ち出しただけである。海賊は船員でもあるので、特に若手は常に裸足であったが脱ぎすぎたことは後悔していた。まだ童貞だったし、もしこの空間に女性がいて見られたらと思うと緊張していた。海の中に建造物があるなど、彼等には予想もできなかった。しかし、海賊なら目ぼしいものを漁りたい気持ちが当然あるので、小舟で近くの島を目指すより探索を選ぶのは火を見るより明らかであった。
 
やがて廊下全体に響き渡るほど、歌声がはっきり大きく聞こえるようになったとき。
海賊たちの目の前には、彼らの背丈をはるかにこえる観音開きの大扉がそびえ立っていた。
艶かしい声に愛撫されたかのように、男たちの全身は甘く痺れ脳を犯す官能的な女の歌声に男根が硬くいきり起っている。
我先にとペドロが扉を蹴破るのに合わせなだれ込むと、海賊たちの目の前に広がるのは寝室とベッドに腰かけ歌う長身の女の姿であった。
シットリぷるんとした瑞々しい青白く輝く柔肌。夜の海を溶かしたような青みがかった黒の長髪が女の身体を隠すように覆い、月光のごとき瞳の煌めきが薄闇の中でもひときわ目につく。魚のエラを模した飾りのようなナニカが耳の位置から覗き、その整った口元は妖しくも美しき微笑みを宿していた。
手足や腰まわりは折れそうなほどの細身でありながら、男を誘うように乳や尻にはたっぷりと肉が育っている。
「……もうダメだ!?ガマンなんかできねえ!!!」

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