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森の奥の謎
官能リレー小説 - SF

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森の奥の謎 10


「きゃあっ!」
パン!
「シェーラ、大丈夫?」

悲鳴、俺の射撃音、蔓が風を切る音、他の女の子が蔓で叩かれた娘を助ける声が交錯する。

「今のうちに!!!」

俺は叫ぶ。蔓の攻撃は俺のほうに向かってきた。他の村人からも離れながら、また1発撃つ。
チャルネと呼ばれた女性が発砲した位置からは、右に90度ほど離れた方向から、俺は牽制の攻撃を続けている。
三本の蔓が俺めがけて刺突の勢いで突っ込んでくる。右横へ飛んで転がり、回避する。
そこにも別の蔓が突きさすように襲ってくる。前と右とから、今度は同時攻撃だ。
すぐさま飛びのきつつ、着地する前にもう1発撃つ。これは木の幹をかすめただけだったが、反動でさらに後ろに飛ぶ効果はあった。

「彼のような漢を、やらせはせん!」
「グイレブさん!」

見れば、俺めがけてくる蔓の一つをグイレブさんがナイフで斬っていた。

「おかげで一人助かったぞ!」

グイレブ氏が一瞬だけ指さした先では、さっきチャルネという女性が撃ち落とした袋が、女性たちの手で回収されていた。蔓でたたかれた女性も、救い出されていた。
さらに、バン、バン!と銃撃音がする。
別の女性が発砲している…と思ったら、なんとナミュレさんだ。

「兄さん!助けるから!!谷沢さんも!」
「ナミュレ!ミュシャ!無茶するな!」

グイレブ氏が叫ぶが、ナミュレさん達は射撃をやめない。しかも、ナミュレさんは俺達の左側、少し離れた場所から撃っているが、ミュシャさんは右に回り込んで撃っていた。
俺ももう1発撃ち込む。あの娘達を死なせたくはない。
案の定、蔓の攻撃は男である俺とグイレブ氏に集中した。
俺は必死に避け、グイレブ氏も優れた体裁きを見せて避けつつ、蔓を二本切り落とした。

「お父さん!!」
「やったわ!」

ナミュレさんの声と、ミュシャさんの声。ミュシャさんの「やったわ!」がどういう事なのかと見てみると、もう一つ袋が撃ち落とされていた。一番黄色っぽくなっていた袋…ジョルブンが入っていた袋だろう。
だが、俺達の抵抗もここまでだった。
木は残った袋を幹のそばに集めて盾にする構えに移った。
これでは人間の盾だ。しかも、袋はぐっしゅ、ぐっしゅとゆっくり搾るような動きを続けている。

「兄さん!今助けるから!」
「手伝うわ!」
「ミュシャちゃん、私も!」

駆け寄るミュシャさんにも、蔓が二本襲い掛かる。俺も袋の隙間を狙って1発撃ち込むと、これが牽制にはなった。
ミュシャさんとほかに数人の女性が協力して、ジョルブンの入った袋の回収には成功した。
流石に危ないと感じて、グイレブ氏が叫ぶ。

「みんな、一度離れるんだ!」
「でも、まだガンテが!」
「ルードもまだ…」
「これ以上は危険すぎる!君達まで犠牲にはできん!」

兄弟か恋人が囚われているのだろう、何人かの娘が訴えかけてくるが、グイレブ氏が押しかぶせる様に強い口調で言うと、彼女達もしぶしぶ引き下がった。




「とりあえず、帰ってこれたか」
「二人を助け出そう」

木はあの場所から動けない。俺達は急いで村に戻ると、ジョルブンとエルドが入った袋をナイフで斬り割いた。
念のため、作業は女達が行っている。俺やグイレブ氏、それに村の男は少し離れた場所で見守っていた。

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