森の奥の謎 9
俺がそうやって情報を集めている間、エルジェさんもナミュレさんもミュシャさんもずっと落ち着かない様子だった。
俺も心配だし、早く何とかしてやりたいのだが…。
そんな時、エルジェさんと同年代と思しき女性が俺達のところにやって来た。
木の周囲の伐採作業をしていたらしく、葉や木屑などがところどころに付着している。
「村長!あの木の様子が!」
「何だと!?どうなったんだ?」
「袋が激しく動き出して……まるで何かを絞るように!
「まあ!」
「まさか、兄さん達が……!」
俺達は慌てて村の外に出て、例の木のもとへ行った。グイレブ氏以外はほぼ全員が女性だ。
「なんてことだ…」
「このままでは、村の男衆が危ない」
大木からぶら下がる花の袋の内部が透けて見える。中には屈強な男達の姿があった。恐らくジョルブン達だろう。
ジョルブン達は全裸になっており、花弁の内部に満たされた蜜の中でペニスをそそり立たせ、腰を動かしていた。
袋そのものが、彼らを絞るように伸縮している。
その光景はまるで淫魔の宴のようで、見るに耐えないものだった。
俺も、村の人たちも目をそらすか、顔を覆っている。
俺が覚悟を決め、ようやく状況を正視できた時。
彼等は、大木を取り囲む人々ペニスを見せつけるかのように腰をくねらす。彼らの顔は、締め上げられるような苦痛を耐えているような、苦しそうな表情をしていた。
袋の一つをナミュレさんが指さして声を上げた。
「ああ、兄さん!」
「ナミュレさん?ではあれが?」
「私の兄、ジョルブンです。ああ…なんてこと……」
ジョルブンらしい男の身体がビクンと跳ねると、花の袋の中に濃厚な精液をぶちまけた。
その量は凄まじく、彼の腰の周囲の蜜が黄ばんだ白に染まるほどだった。
他の者も、次々と射精して袋の中を白く染めていく。だがジョルブンの射精に比べると少し見劣りがする。だが、それでも相当な量であることに変わりはない。
しかも、袋が何度も伸縮し、揺れ、しばらく続くとまた中の男が射精してしまう。
「何だか、衰弱してないか?」
「まずいな……搾りつくされてしまうぞ」
俺とグイレブ氏のやり取りの間に、動きがあった。
「エルド、今助けるから!!」
若い女性の声がして、バンバンと銃声が響く。
自動小銃を構えた若い女性が、袋を吊っている蔓めがけて射撃している。
声や彼女の表情からして、もはや見ていられなかったのだろう。
「危ない!やめるんだ!!」
「当たって落ちたぞ!」
弾倉1つ分ほどの数、連射した時ぼとっという重い音がした。
彼女が撃っていた蔓の先端が破れて袋が落ちる。父親と思しき男性が彼女を止めたのは、それとほぼ同時だった。
「助けないと!」
「ええ!」
「待て!チャルネ!」
落ちた袋を回収しようと、女達が駆け出す。
さっき射撃していた女性も、男性が止めるのを振り払って駆け寄る。
だが、さっきの銃撃は木の幹にも命中していたからか、木は蔓を振り回して彼女たちを追い散らそうとする。
慌てて足を止める者もいるし、鞭うたれてしまう者もいる。
これは流石にまずいな……俺は自分の持っていた拳銃を、別の方角から撃ち込む。
蔓の途中を狙うような射線で、蔓を切れれば儲けもの、幹に当てて木の注意をこっちに向けるためだ。