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森の奥の謎
官能リレー小説 - SF

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森の奥の謎 1

民族衣装と思われる、何だか露出の多い見たこともない衣装に身を包んだ人物と、ジャングルの中で遭遇した。
年のころは、まだ10代前半だろうか?まだ距離があって、性別はわからない。
俺が声をかけようとすると、その少年?少女?は俺と目が合うなり、身をひるがえして逃げ出した。

おっと、俺の名は谷沢勇樹。しがない学者だ。未知の民族がいるという噂を頼りにやってきた。

とっさに俺も追いかける。俺を振り切ろうと、あの子も木立や茂みを生かして自在に走っていく。子供としてはかなりの動きの良さだ。
この年齢特有の育ち盛りのすらっとした体で、あの子は素早く逃げていく。

「待ってくれ!」

俺が叫んでも、振り返るだけだ。性別はわかりにくいが、怖がっているようにも見えた。
部外者に対する警戒心だろうな。無理に追っても余計怖がらせるだけだ。
俺はひとまず追うのをやめた。自分の場所さえ見失いかねないし、狩猟用か防衛用の罠に誘い込まれるかもしれない。
トラバサミやバンジステークに引っかかった自分を想像するとぞっとする。
ひとまず、内装式スマートデバイスでGPS情報を取得しなおす。
今朝から電波状態が悪かったが、今は何とかデータを取れた。
脳裏に自動マッピングアプリで自分の辿った経路も表示させる。
スマートフォンなどと違って、紛失する心配がないのがこの手の内装デバイスの長所だ。
マッピングデータを見ると、ジグザグに逃げているものの遭遇した場所からは南へと走っていた。俺を振り切ったら違う方向へ進むつもりだったのかもしれない。
遭遇するまでの俺の経路は、南東へと進んでいた。噂に聞いていた場所に向かっていたから、あの子は俺を西へ誘い出したのかもしれない。
だとするとここからなら東南東に、あの子の部族が住んでいそうだ。
そう思った俺は、今度は慎重に、慎重に気配を殺しながら動いた。
日暮れが迫っているから、あの子も部族に帰りたいはずだ。
そこから考えると、あの子は拠点から引き離すつもりで走ったにせよ、あまり大きくは迂回してないはず。
なら……張っていた場所に、あの子が現れた。

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